いつも君達は、この世界に生まれてきて一体何を感じているのだろう?

 
多分、僕の見ているものとは全く違うものを見つめているのだろう。
 
不意に見せる愁い顔や淋しげな表情をカメラは捉えた。
 
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君達にとって幸せとは、食べること?
暖かな部屋で柔らかな毛布の上で眠ること?
 
頭を撫でられるとさらに体を擦り付けて来る。
仰向けになって腹を見せてはもっと、もっとと前足を伸ばしてせがむ。
 
愛情に飢えているのは人間と同じだね。
ただ、君達は具体的な感情を表現する言葉を持たない。
 
いや、人の言葉だって真実のほんの少ししか語り得ない。
 
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だから仕草や目に心は宿るのだろう。
それでも分かり合えず分かち合えない気持ちのやり取りを、人は孤独と呼んだ。
 
この外側を持たない無限大と内側のない無限小の出会いひっくり返る極地で、天上天下唯我独尊、真の意味で命の尊厳を取り戻すまで、人も犬も、生きとし生けるもの、植物や微生物に至るまで、石や土だって、因果を持たず、時空を超越し、己の存在が一体何なのか気づくその日まで。
 
君達も僕たちも、悲しみや苦しみの前で立ちすくみ続ける。
 
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1と0の世界から、1でもあり0でもある進化を遂げたAIが浸透し、この世界を侵食するのか、人の無限の創造性が、ロボットサイボーグが破ることのできぬ枠の中を飛び出して無限の境地に達し、それを制御するのか。
 
ひょっとしたら君達は、もうすでにその未来世界が見えているのかも知れない。
 
人の五感では認識できない第六感が純粋な瞳に宿るとすれば、僕たちに君の悲しみがこうして少し伝わって来るのがわかる気もする。
 
さあ、ともかく餌でも与えてやろう。
それとも、山に散歩にでも出かけてみるかい?