ちょっと久しぶりに「赤い屋根」にカミさんと出掛けてる。

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田圃に囲まれた、田園風景の広がるカフェでゆったりと、束の間の非日常に身を委ねる。

週末忙しく働いてくれていたカミさんも、呑気に目の前で雑誌のページをめくっている。

誰もお客さんのいない店内では、穏やかに静かな時間が過ぎてゆく。

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夫婦とは長い会話であると言った人がいた。
であるならば、話題が尽きてしまったらお終いだろう。

その為には毎日互いの新たな点を発見することが大事ではなかろうか。
もう20年以上連れ合い、良いとこも悪いとこも知りすぎたと思うかもしれぬが、そこはそれ、見ようとしなければ永遠に見えてこない部分がある。

それに酷い言い方をすると、釣った魚には餌をやらぬを越えて、我が池の中に魚が住んでいることさえ忘れてしまっているのが世の旦那衆の習わしなのかも知れない。
空気や水のような存在だからこそ、有り難みを噛み締めなければ罰が当たるというもんだ。

程なくして、落ち着きの中にも笑みを浮かべたママさんが、カミさんと微妙な距離を保ったテーブルの上に料理を運んでくれた。

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自ら作るカレーにもこだわりを持つカミさんが絶賛する牛すじカレー、今日はエビフライをトッピングして。
確か1,000円くらいだったと思う。
私が頼んだのはビーフシチュー、ライスと珈琲付きで1,400円。
外食すると、つい肉料理に興味を持ち、目にすると咄嗟に頼んでしまう哀しい性。

食事を摂りながら、当然いつもの家食、中食とは異なる空気の流れがある。
それはどこからか、遠い日の情景を思い浮かべさせられ、そこから吹いてくる気もする不思議なノスタルジア。
あの場所に戻り、そこから視点を貰い、異国の地である今を見つめられる。

小雨そぼ降る灰色の土地を縫うようにして涼風が駆け抜ける。
そんな新鮮な気持ちに一瞬なれた。

どうやら、倦怠気味の間柄には互いに独立した刺激、あるいはディスカバリーが必需のようだ。
大袈裟だが今を離れて全体、真実を見極めるためにも。

かあちゃん、ありがとう。

そう素直に言えるには、まだまだ現実の慣れにどっぷり浸かりすぎている。

そうこうしているうちに、日頃頑張っている互いのためのご褒美がテーブルの距離感を一気に縮めた。

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メニューを見たときに思わず目が止まった写真より美味そうなパンケーキ。
論より証拠を肝に銘じたい2人に甘い蜜が垂れ流れている。

慣れた手つきでナイフで真っ2つに切り分けたカミさんに拗ねてみた。

「あ、そっちの方が大きいやんけ」
「はいはい、こっち食べ」

いつものことに呆れることもなく、子供扱いして皿を反転させる。

そこに新しい風が吹いてはくれるのだろうか?

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