脱衣室で髪を乾かせていた、風邪かなと思ってたカミさんが風呂上り、意外と元気だったので、たまたま食べログで発見した中々よさげなカフェにでも行っみるかと声を掛けたところ、にっこりとほほえみ二つ返事。

雪原に灰色の雲を映し出した愛知川の土手沿いを車を走らせながらたわいのない会話。

そう言えば、二人きりでドライブするのは久し振りのような気がする。

サイドミラーに過去は映らねど、ふと結婚前、今から行く琵琶湖沿いを二人でよく走った思い出が脳裏をよぎった。


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能登川町の水車の向こう側に、伊吹山や霊仙山の頭、輝く白銀が目にも鮮やかだった。

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湖岸道路に出ると程なく目的場所に。
思っていたより早くたどり着いた。

右側に大きく新しい神社の建物、左側には中規模の会社があり、見過ごして通り過ぎ、戻ってきた。

カフェ「vokko(ヴォッコ)」。
大きな木に見守られるようにして、そこだけ異空間のようにして佇んでいた。

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古びた木のドアを開け、「ちわー」とジャズの流れる店内を見渡すと、眺めるまでもない小さな空間の目の前に店の女性がいた。
何とも自然にそこにおられた。

30代くらいの方で、人とこのアンティークな建物が融合したかのように、静かで控え目、でも店内に流れる空気と同じく、無理のないフローに任せた一挙手一投足が印象に残った。
商売人のような愛想はまったく感じられない。
でも優しい人柄が滲み出ていた。

気取りのない服や北欧の雑貨が店内狭しと並べられていたが、窮屈さはない。
これまたここにあるべくして存在している感じ。

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名前は知らないがこのプラント、根の伸びた土を丸ごと毛糸でくるんであり、私は今まで見たことがなかった。
カミさんが気に入り、帰り際に購入した(奥の濃い緑の毛糸の方)。

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カウンターに四席。

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琵琶湖と緑、比良山系や砂浜を眺められるソファー席には三人が何とか座れる程のスペース。

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中途半端な昼下がり、他に誰もいなかったので、お断りしてから写真を撮らせて貰っていたら、先ほどの女性が窓の景色にあり、そのいくつもの枝先が店に伸びてくるような大きな木のことなどを丁寧に説明してくれた。

写っていないが、写真の木の横にあったもう一本の大木の名がエノキだというのに、無知な私は思わず笑ってしまった。
後で調べると、昔は街道の一里塚として植えられていたらしい。

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私たちが座ったのは、四人掛けのテーブル席。
つまり、十人も来店すればほぼ満席になる。

注文したのは、カミさんがブレンドで、私は名前に惹かれて「天にも昇る幸せ」と銘打ったピーチをベースに矢車草、オレンジの花などが入った紅茶(共に400円)。

ケーキは濃厚でありながらあっさりとしたチーズケーキと、こちらは濃厚そのもののガトーショコラ(これもオール400円)をオーダーした。

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何ともいえない甘く芳香な香りに、さすが甘党の私も、小さくかわいい角砂糖を入れず、ストレートで堪能した(途中まで)。

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各テーブルにさりげなく置いてあるオブジェにも、目や心も癒やされる。

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忙しいだけの日常を忘れるかのように心地よい時間を過ごした私たちが次に向かったのは、カミさんが通るたびに毎回気になっていたという雑貨屋さんらしき店舗。

何でも信じられないが、一人で入る勇気がなかったのだと。

本日二店舗目はカフェ・ケーキ屋さんの「chere(シェリー、写真の看板文字が一字多いのは何故か?)」。

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「ちわー」
あほの一つ覚えみたいに言いながら初めて行く店に入ると、愛想の良い中年女性が出迎えてくれた。

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店内はログハウス調のウッディーなつくり。
二階席もある。

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さらにテラスもあり、シーズンにはテーブルが置かれるようだ。
西の湖が一望できて情緒気分に浸れそうだ。

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ショーケースには、リンゴ丸ごと使った珍しいケーキ(左下)や定番物が飾ってあった。

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娘たちへのお土産のつもりだが、王様やお姫様のケーキには触手が伸びなかったカミさん。

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朝から先ほどのケーキ少ししか食べていなかったので、軽食があったら助かったのだがそれもなく、「すみません、ランチもまたやろうと思っています」との口頭による宣伝文句に躊躇しつつ、お土産を抱えてそそくさと店を後にした。

いつの間にか元気もりもりのカミさんと腹を空かせてヨロヨロのおっさんが、青春の道を辿りながら新しい店を発掘した休日は、こうして静かに過ぎてゆくのだった。