うふふ。
おばちゃんはね。
今はこうして沢山沢山たくさーん
食べているけどね！
お部屋に戻ったあと、すぐに
おトイレで
ぜーんぶ
ゲロにしてしまうんだよ
如何に外道な餓姫ゆえど
汚れを知らぬげな礼儀正しき少年に
斯様な
ゲロの如き悍しい現実を
ゲロの如き汚らしい言葉で
叩きつける勇気はなく
何年かぶりに
「言葉に窮する」想いをしたよ
口内に在った米と魚をゴクリと飲み干し
やっとのことで
たどたどしく
「身体をしっかり動かして、楽しく美味しく食べて、その後また、運動するといいよ」
男の子は続けてこう言いました。
「僕はソフトボールをやっていて。痩せているので、もっとたくさん食べられるようになりたいんです」
と。
自分にはないと思っていた
まあ、実際にも無いのであろうが
母性のようなものが
とても痛く感じた
「そっか。いっぱい食べて、いっぱい運動して、おっきくなれよ」
やっとのことで言葉を絞り出した餓姫に
少年はペコリと礼をして、
去っていきました
餓鬼の如く貪り食っていた自分に声をかけた
あの子を
一時でも煩わしく思ってしまった自分
大きくなりたいと
頑張るあの子に
嘘をついてしまった自分
ああ。
なんだかとても
甘くて
苦い
少年よ。
がんばれよ。