【2DKの三幽霊】









台本の書き方上全ての不問キャラを男口調で書いていますが、女性が演じる場合は口調、一人称、好きに変えて頂いて構いませんし、ご自身の言いやすいお言葉(方言など)で演じて頂いても結構です。
性転換、全く問題ありません!

アドリブに制限は一切ありません。ですが、共演者の方々に迷惑のかからない様、自己責任でお願いします。





茜・♀


佐藤・♂


田中・♂


鈴木・♂





茜「さてと…荷物もこれで片付いたし、これにて引越し作業完了!駅とコンビニも近くて日当たりも良し!一人暮らしの理想的な物件、借りれてよかった!」


佐藤「ふふふ…。」


茜「まあ、部屋借りる時に大家さんがなんかいわく付きがどうのこうの言ってたけど、やっぱり家賃は安いに越したことないわね!」


田中「くくく…。」


茜「さーて、引越し祝いに紅茶でもいれよっかなー。」


鈴木「ははは…。」


茜「……え、なんかさっきから笑い声…聴こえる…?」


佐藤「気づいたみたいだぞ…。」


田中「ああ、はっきり聴こえてるみたいだ…。」


鈴木「僕達の声が…。」


茜「え…!?えっ…!?ま、まさか…!」


佐藤「……よかったー!聴こえてないのかと思った!」


鈴木「ビビったよほんと!」


田中「聴こえてる!?なあこれも聴こえてんの!?」


茜「な、何こいつら!!」


茜M「これは私と、成仏し損ねたクソ幽霊共の、一つの部屋の中のお話。」



佐藤(タイトルコール)「地縛霊だもの。」



佐藤「昨日のあれ観た?」


鈴木「観た観た。やばかったよね、あれどうやって技かけてるんだろうね。」


田中「お前、観た観た?ってそりゃ観ただろ。リビングで一緒に観たんだから。」


佐藤「あ、そっか!あはははははははは!」


田中「ははははははははは!」


鈴木「ははははははははは!」


茜「うるさいな!いい加減静かにしてよ地縛霊ども!」


鈴木「え、なんで怒ってるの?」


田中「コブラツイストは嫌いか?」


茜「違う!そうじゃない!この状況が訳わかんないの!」


佐藤「もう。慣れようぜ?茜が俺たちを認識してもう2ヶ月経ったんだし。」


茜「考えろ!2ヶ月の間お前ら三体が同じ空間にいるんだぞ!頭がおかしくなりそうだわ!」


鈴木「おかしくなってないからいいじゃん。」


茜「スパルタ過ぎる!」


佐藤「まあ、俺たち地縛霊だからな。」


茜「どんな言い訳よ!」


田中「まあ、俺たち地縛霊だからな。」


茜「お前に対しては何も言ってない!」


鈴木「まあ、僕達、地縛霊だからね!」


茜「フレーズにハマるな!」


三体「はははははははははは!」


茜「ツボるな!」


佐藤「てことで、技かけさせて。」


茜「ええっ!?急に!?なんの!?」


佐藤「コブラツイスト。」


茜「嫌よ!あんたらで掛け合ったらいいじゃない!」


田中「俺たち痛み感じねえから。」


鈴木「やっぱりそこは生身の人間で試さないと。」


茜「試すっつった!?」


佐藤「な?ほら、技かけさせてよ。」


茜「ガキ大将か!」


鈴木「あーもう焦れったい!かけられるの?かけられないの!?」


茜「焦れったい事なんにもなくない!?拒否し続けてるんだけど!?」


鈴木「もどかしい!佐藤、田中押さえ付けて!」


茜「もどかしい事もなくない!?あんた語彙力まで死んでんのか!」


佐藤「任せろ!」


田中「おう!」


茜「いやあああ!?幽霊とは言え男二人が私を床に押し付けようとしてる!!」


佐藤「押さえ付けたぜ!」


田中「鈴木今のうちに!」


鈴木「………いや、床に押し付けたらコブラツイストかけられないじゃん。」


佐藤「あ、そっか。」


田中「そりゃそうだな…。こうなりゃ技変更だ!四の字固めだ!思いっきり脚を固…!」


鈴木「わかった!」


茜「即答かよ!」


鈴木「おりゃ!うおりゃ!」


茜「……………。」


田中「どうだ!?」


佐藤「茜!痛いか!?」


鈴木「そう言えば僕、幽霊だから脚無かった。」


田中「あ。」


佐藤「元々、プロレス技かけられないじゃん。」


鈴木「まあ僕達、地縛霊だしね!」


三人「あははははははは!」


茜「どけええええええええええええ!!」



田中(タイトルコール)「コタツのコードでやりました。」


鈴木「そんなに嫌なら引っ越せば?」


茜「……ここ、家賃安いのよ。」


田中「いくらだよ。」


茜「………水道光熱費込みで、七千円。」


佐藤「やっす!!」


鈴木「そんなに!?」


田中「俺の時より安い!」


茜「あんた達の時はいくらだったの。」


佐藤「二万円。」


田中「四万円。」


鈴木「九万三千円。光熱費別。」


茜「………お前が諸悪の根源か!」


鈴木「え?」


茜「お前がここで自殺したからあとの二体が寄ってきたんだろ!」


鈴木「そんなぁ、その時の僕だって死にたくて死んだ訳じゃないんだよ。」


佐藤「そういえば鈴木ってなんで死んだんだ?」


田中「自殺じゃねえのか?」


鈴木「冷蔵庫の上に炊飯器置いてたんだ。そしたら地震が起きて、寝てた所に、顔にドーン!って。」


佐藤「そりゃ可哀想に。」


田中「災難だったな。」


茜「待って、まず冷蔵庫の前で寝てたの?」


鈴木「うん。」


茜「2DKなのに!他の部屋を寝室にしなさいよ!」


鈴木「夜お腹がすいたらすぐ食べれるように。」


茜「ここで変な食いしん坊キャラを出すな!」


鈴木「ええ!?よくない!?それくらい!」


茜「それで、その次に田中がここで死んだと。」


田中「そうだな。俺は首吊って。」


茜「そこまでは聞いてない。」


田中「ちょうど茜が座ってる真上で。」


茜「いやっ!もう!最悪!マジでもう!」


佐藤「俺は飛び降りかな。」


茜「聞いてない!何チャンスだと思って自分のエピソードトークしようとしてんの!?ひな壇の若手か!」


佐藤「まあベランダからぴょーんなんだけどさ。顔から。」


茜「うわもう、洗濯物干す時変に想像しちゃうじゃん。なんなのお前ら!」


田中「まあまあ、逆に考えろよ。」


茜「何を。」


田中「ぶっちゃけ俺たちそこまでブサイクじゃねえから。むしろ、イケてる方だと思うんだ。」


佐藤「あ、たしかにな!イケメンに囲まれて生活してるんだぜ!?」


鈴木「いいと、思わない?」


茜「……炊飯器に顔潰されてるし、首吊って表情ぐちゃぐちゃだし、顔から飛び降りて原型留めてないから!イケメンとかブサイク以前の問題なんだよお前ら!」


佐藤「はは!幽霊って、死んだ時の姿で出るんだな!」


鈴木「確かにお岩さんとか、ひっどい顔だもんね!」


佐藤「ファンキーでポップな、愉快な家だな!」


茜「モンスターハウスだよ!」



鈴木(タイトルコール)「得意料理はパスタでした。」



茜「はあ…。」


田中「…おい、茜がため息なんかついてるぞ。」


鈴木「相当疲れが溜まってるね。」


佐藤「ここは俺たちが一肌脱いで、リラックスさせてやろうぜ。おい茜!」


茜「あ?」


佐藤「半ギレの所悪いが、今から俺たちが晩ご飯を作ってやる!」


茜「晩ご飯…?」


田中「ああ、ゆっくりテレビでも観といてくれ!」


鈴木「しかもデザート付きだよ!」


茜「いや、そもそも料理出来んの?いや、技術的な事じゃなくて。包丁とかフライパンとか、幽霊が持てんの?」


佐藤「まあそこらへんは、あれだ、凄めのポルターガイストだと思ってくれ。」


茜「凄めのポルターガイストって何。」


田中「で、何が食べたいんだ?」


鈴木「ご飯と、デザート。」


茜「んー…じゃあハンバーグとプリン。」


佐藤「よし任せろ!どっちも簡単な料理だ!」


茜「ねえ、さっきは物理的に料理出来るか聞いたけど、技術的には料理出来るの?」


田中「おいおい、これでもここで一人暮らししてたんだぜ?料理くらい出来るっつーの。」


茜「ま、まあ確かにそうか…。」


鈴木「よーし、じゃあ早速作って行こう。まず、ひき肉にコショウと、おし、ぎゃああああああああああ!?」


佐藤「す、鈴木!」


田中「どうした!?」


茜「なになになに!?」


鈴木「お、お塩で成仏しかけた…!」


茜「食塩で!?普通そういうの清め塩とかじゃないの!?」


佐藤「茜、ハンバーグは諦めてくれ。」


茜「早っ!?諦め早っ!?まだ何も進んでないのに!?」


田中「まあまあ、デザートのプリンは作ってやるから。えーと、牛乳に卵黄と、さとぎゃあああああああああ!?」


佐藤「田中!」


茜「今度は何!?」


田中「さ、砂糖で成仏しかけた…!」


茜「お砂糖で!?何!?あんたら粉状の結晶に弱いの!?」


佐藤「プリン、諦めてくれ。」


茜「お前ら己を知れよ!」


佐藤「さて、牛乳に卵黄はいれちゃったから、小麦粉入れてパンケーキにするか。焼いた後でシロップかけたらいけるだろ。」


茜「なんか、それっぽいこと言うの腹立つな。」


佐藤「さ、小麦粉も入れまして…ちゃちゃちゃーっと焼いて…。」


茜「わ、私より料理の手際がいい…。」


佐藤「最後にシロぎゃああああああああああ!?」


茜「ぇぇええええなんで!?何に!?」


佐藤「メ、メープルシロップかと思ったら…はちみつだった…。」


茜「なんでもありか!」


田中「やばかったな…。」


鈴木「お塩と砂糖と、はちみつ…。」


茜「そのままガチで成仏しちゃえばよかったのに。」


佐藤「俺たちが成仏しても、第二第三の俺たちがきっと現れるさ。」


田中「期待してるぜ!」


茜「………私!?しないしない!誰がこんな所で死ぬもんか!」


佐藤「いよっ!四代目!」


茜「継ぐか!!」


田中「そんな事言って、実は俺たちみたいな暮らし、憧れてるんだろ?」


鈴木「茜?なにそれ?虫除けスプレー?なんでこっち向けてんぎゃあああああああああ!?」



茜(タイトルコール)「明日も元気にいってらっしゃい。」



茜「……はい…はい…分かりました…はい、失礼します。…はぁ、またか。」


鈴木「何?」


佐藤「休日出勤だと。」


田中「明日?大変だな。」


茜「しんどい…。せっかく引っ越して心機一転して頑張ろうと思ってたのに…。」


鈴木「茜!ほら見て!」


茜「あ゙?」


鈴木「幽体離脱〜!」


田中「どうだ!」


茜「いや、幽体離脱も何もお前らガチ幽霊じゃん。お前ら感性も死んでんのか。」


佐藤「いつにも増してディスが酷いな。」


鈴木「ガチギレだね。」


田中「そんな…流行のギャグだぞ…!?」


佐藤「だいぶ前のな。」


茜「あーもう嫌!あんなブラックな会社辞めてやる!給料だってそんなに無いし!」


佐藤「お。新たな心機一転か?」


茜「……どうやって辞めよう。」


鈴木「普通に、辞めます。って言えば良くない?」


茜「うちの会社、そういうのはぐらかされるのよ。それで辞めれてない人何人もいるし。」


田中「許されるのかそれは。」


鈴木「じゃあどうやって辞めれるか会議しようよ!」


茜「え゛。」


鈴木「なにその、え゛。って。」


茜「余計疲れが溜まる嫌な予感しかしない。」


佐藤「失礼なこと言うなよ。俺達に任せておけば間違いなしだぞ?」


茜「調味料で成仏しかけた奴らに任せれるか。」


田中「まず辞める意思をちゃんと伝えるのがいいと思う。」


茜「聞けよ。」


佐藤「でもはぐらかされるんだろ?それだけじゃダメなんじゃないか?」


茜「聞けよ。」


鈴木「じゃあ、茜が会社に必要ないっていう風にすればいいんじゃない?」


茜「聞けよ。」


佐藤「それだ!」


茜「聞けよってだから!お前ら聴力も死んでんのか!」


田中「まあ落ち着け。」


茜「落ち着きたいのだから!」


佐藤「茜、結論が出たぞ。」


茜「今の数回の会話で!?何が!?」


佐藤「会社で自殺したら辞めれるぞ。」


茜「最悪の結論!さっきの会話内容どこ行った!?」


佐藤「あ、そんなに辞めたかったんだねぇ。ってなるぞ。」


茜「そんなに軽く済まされてたまるか!」


田中「夜になると、退職出来ずに無念と共に散っていったOLの霊がゆらゆらと現れる…。」


茜「結果会社から離れられてない!そんな所でお前らみたいなクソになってたまるか!」


佐藤「地縛霊をクソって言うなよ。」


鈴木「じゃあ会社で上司を殺そうよ。」


茜「馬鹿か!馬鹿なのか!」


鈴木「あ、そんなに辞めたかったんだねぇ。ってなるよね?」


茜「辞めれるだろうけど今度は違う所にぶち込まれるわ!お前道徳死んでんのか!」


田中「そのワード好きだなぁ。」


佐藤「狂気!上司殺しの女!動機は不倫のもつれか!?」


茜「業務内容だよ!」


田中「じゃあ俺はだな…。」


茜「待て待て待て!お前らなに大喜利みたいなことなってんだ!俺はってなんだ俺はって!」


田中「せめて言わせてくれよ。」


茜「会社燃やすとか言うなよ。」


田中「さあ次考えようか。」


茜「当たりかよ死ねよ。」


田中「死んでんだよ。」


佐藤「わかった!」


鈴木「なにが?」


佐藤「お隣さんあれ絶対浮気してるって。」


茜「なんの話!?」


佐藤「いや隣の部屋の人、よく色んな女の子連れ込んでるなって思って。」


茜「いまその話関係なくない!?……て、え、あんたなんでそれわかってんの?」


佐藤「え、見たから。」


茜「うちの中から?」


佐藤「いや。散歩の帰りにマンションの廊下で。」


茜「…え、あんた外出れんの!?地縛霊なのに!?」


佐藤「地縛霊でも出れるよ。」


鈴木「よく散歩してるよね僕ら。」


田中「部屋に居ても暇だからな。」


茜「え、じゃあどっか行ってよマジで。」


佐藤「いやーなんかわかんないけど戻ってきちゃうんだよなあ。」


鈴木「いつの間にかね。」


田中「やっぱ俺ら地縛霊だよな。」


茜「腐っても地縛霊なのね。」


佐藤「死体は腐る前に焼いたぜ!」


茜「うるせえ。」


鈴木「……あ!そうだ!」


茜「え?」



【 間 】



佐藤「それじゃあ茜!」


田中「退職出来て!」


鈴木「おめでとう!」


茜「…………。」


佐藤「いやあ上手くいったな!」


鈴木「すぐ辞めれたね!」


田中「よかったよかった!」


茜「なんにも良くねえ!」


鈴木「ビックリした。どしたの?」


茜「お前ら何やったか言ってみろ!」


佐藤「え、茜が会社に行くのみんなで着いてった。」


鈴木「それで茜が退職届出すのを見守った。」


田中「それで上司がはぐらかそうとした時にめちゃくちゃ暴れた。」


茜「だよね!そうだよね!それで上司がビビってはぐらかせなくなって辞めれたけどね!でもね!おかげで私は不吉な女扱いだよちくしょう!」


佐藤「辞めれたからよかったじゃん。」


茜「悪魔使いのレッテル貼られたけどね!社員の色んな宗派の人達がそれぞれの念仏唱えながら私が出ていくの待ってたわ!」


田中「あれは苦しかったな。」


鈴木「めちゃくちゃ我慢したよね。」


茜「マジでそれで成仏してくれてたらよかったのに…!」


佐藤「まあまあ。何はともあれだ。茜の新しい心機一転、俺たちは見守っていくぞ!」


田中「おー!」


鈴木「おー!」


茜「いい加減にしろお前ら!」




〜幕〜





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