私も学生時代は「自分の本当にしたいことはなんだろう?」「自分はどのような人間なんだろう」と疑問に思っていましたが、なかなか満足のいく答えは見つかりませんでした。自分を知るって実際やってみるとかなり難しいものです。
ではなぜ自分を知るということが難しいのかというと、実は自己分析を難しくしている邪魔者がいるのです。それは何かというと・・・ずばりあなたの“性格”です。
“性格”の定義は分野によって異なるでしょうが、私は「生まれ持った気質+生後学んだ外界への対処法」であると思っています。私たちは生まれる前からすでに“性格のようなもの”(私はこれを“気質”と呼んでます)を持っていました。そして当初はこの“気質”を使って外界に対処していきましたが、成長していくにつれそれだけでは対応できなくなりました。そこで、自分の欲求を満たしたり問題に対処していく方法を思考錯誤して学んでいきます。また、周囲の大人から「こういうときはこうする」といった“倫理”を押しつけられます。そうして、あなたは外の世界というステージで踊るために性格という名の衣装(=性格)を身につけていったのです。
外で裸でいて許されるのはせいぜい幼稚園ぐらいまででしょう。もし大人が裸で外をうろつこうものなら警察沙汰です。大抵の大人は服を着ていますし、しかもその場にあった服を身にまとうのがマナーとされています。これは性格でも同じで、自分の気質そのままを出せるのは長い人生の最初だけです。成長していくにつれTPOをわきまえた行動をしていきます。つまり本当の自己とはそういった衣装を着ていない、素っ裸なあなたということです。ですから本当のあなたを知るにはその衣装を脱がなければならないのですが、悲しいかなほとんどの人は自分が来ている服=自分だと勘違いしています。確かに、警官の服を着ている人が実は大工さんなんて普通は思いませんよね。それに自分をよく見せるために上等な衣装を着るなんてよくある話です。
そのため、自己分析を行う際はなるべき自分の着ている衣装を脱ぐ=性格を極力排除するということが必要となります。これは簡単なことではありません。しかし比較的簡単な方法があります。それは幼いころの自分を思い返してみるということです。幼いころはまだ性格が発達しきっておらず、気質の部分が強く影響します。そのため、例えば回答を選択するタイプの性格診断(エニアグラム、エゴグラム、MMPI、MPI、Y・G性格診断、etc...)を受ける場合、なるべく幼いころどういう行動をとっていたか、若いころの自分ならどう答えるだろうかという観点で回答すると正確な診断結果になりやすいです。
そして、今の“性格”を形成していった要因が何であるかを考えることも重要です。性格の半分は環境によって形成されますから、自分がどのような環境で育ってきたか、どういった出来事を経験してきたかという点を考えるきっかけになります。
性格=自己と思っているうちは、本当のあなたを知ることは難しいです。まず性格は自己の本質ではないことを理解する必要があります。そして性格に捕らわれることが無くなり、性格を“自分の一部”と理解できたなら“性格”はあなたを助ける“道具”となるのです。これは無理して別の性格を演じろというわけではなく、あなたの性格=道具の得意不得意を学ぶということです。得意なことをどうすれば発揮できるか、不得意なことにどう対処するかということを知るということです。
なんだか抽象的になってしまいましたが、それだけ「本当の自分を知る」ということは難しいことです。ですから、焦らずゆっくりとリラックスして「本当のあなた」を探していってください。私も「自分はこういう人間です」って説明できるようになるまで1年以上かかりましたから・・・(しかもまだ完璧でないという・・・)。
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