1mm happiness



■Basic data■


名前:池畑索季(いけはたもとき)
生年月日:1989年6月5日 23歳
所属:同志社大学文学部哲学科4年



■Questions■



1、現在の活動


○勉強


大学では哲学の勉強をしてます。
すでに単位の関係上留年することが決まっちゃってるから今年書く必要はないんだけど、今は卒論を書いてる。

卒論のテーマは「公共圏」。
17~18世紀にフランスのサロンとかイギリスのコーヒーハウスでは言論活動が行われてて、それらが政治的な変革の原動力になったんだけど、そういう空間のことを「公共圏」って呼ぶんだよね。


日本人は、自分も含め政治への参加意識が薄いなって感じてるんだけど、今みたいな先が見えない状況のときこそ、自分たち市民が参加して意見や考えを言っていかないと、政治家に任せっきりでは危険だなあって感じてて。
そこで、公共圏から何かヒントをもらえないかな?と思って研究してる。


浪人するまでは理系で、脳科学とかに興味があって理学部を目指していた。
怠けがちな浪人生をしていた年末に、「本当に自分の進路はこれでいいのかな?」って考え直した結果、脳をもっと掘り下げてった先にある「意識」とか、哲学の分野で扱ってる問題の方が性に合ってる気がして、私立の願書を出す時に勝手に文転した。


もちろん哲学の中でも色んなジャンルに分かれるんだけど、僕は言語に興味がある。
考えるときって、言葉を使うじゃん。 
例えば日本では赤と朱色を分けてるから、これは赤、これは朱色って言えるけど、その2色を一緒くたにしてる文化圏だったら、認知的にも同じものとして認知されてる。

それに、農業が発達した日本だと天気に関する言葉が多かったり、雪国だと雪に関する言葉が100種類あったりするように、その国々とか文化圏によって持つ言語が変わるんだよね。
そういう部分に興味を持ってる。


あとは、アラビア語と中国語を勉強してる。
実用目的半分、興味半分。
特にアラビア語は、なかなか勉強してる人のいないものだからこそ、知ってたらおもしろいし、うにゃうにゃしたあの文字を書けたらかっこいいかなと思って。



学生ヨル会議


最初誘われたときは乗り気じゃなかったけど、参加してみたら面白い人が多くて、コアメンバーに。
僕は、代表のかっちゃん が描くイメージややアイデアを実行してく人。ミーティングでは大体進行役を務めてる。非常に中間管理職的な役割をしてます(笑)。


毎週火曜の夜にやってるヨル会議のミーティングには2つの意味合いがある。
ひとつは企画内容を詰めることや確認事項についてシェアすること。
もう一つ、これが変わってるんだけど、その場に色んな人を巻き込んで楽しんでもらうこと。

みんながかちっとしてるときとは、よくも悪くも違ったものができる。
組織って言うよりは、一緒に何かをつくるコミュニティって感じかな。


ヨル会議は、自分のやりたいことを実現する場。
そして「す・き・だー!」が集まる場であり、「す・き・だー!」を深める場。

「一緒に環境をつくる」、つまり「場づくり」にフォーカスを当てた集まりであることは、僕がここをすごく好きな理由の一つでもある。
メンバーのみんなは、「これをやりたい!」っていうよりは「こういう場に価値を見出して」参加してくれてる感じがする。
重要なのは、テーマじゃなくて刺激的な人と議論できたり一緒に何かを創っていけることだと思ってて、そんな文化祭的な部分を純粋に楽しみながら、一人ひとりが自分の学びにも取りこんでいる。


11月にはブックchを開催した。
もともと読書会をやってて、本について語るのは好きだった。
去年の秋に、ビブリオバトルという書評バトルに出場した。ルールは、参加者が5分で1冊の本についてプレゼンし、「その本読みたい!」って一番多くの人から思われた人が優勝するというもの。

「セクシィ仏教」という本をチョイスしたのがが良かったのか、京都代表として全国大会に出場したんだけど、本を使ってたったの5分間でこんなに面白い空間を創れるんだということに感動して、そこに本の可能性を感じ、モチベーションが上がって開催を決めた。


ブックchにはミシマ社 の三島さんをゲストにお呼びした。
当日には装丁家の矢萩多聞さん も飛び入りで参加してくださった、


「本」というテーマにだったからか、まじめなんだけど暑苦しい人がたくさん集まってくれた(笑)。
本は、選び方ひとつにも見方にしてもその子のセンスが出るよね。
普段あんまり社交的じゃない文学少女的な子が熱く語ってる姿を見るのが面白かったなあ。

準備でいっぱいいっぱいでみんなが実際にワークでどう感じたのかがつかめなかったので、次回開催時は僕は参加者がいいです(笑)。



≪関連する学び:「ファシリテーション」≫


読書会は自分でも主催してて、一つのテーマや知識についてしゃべる場づくりが好きだった。けれど、それをより多くの人の前で行うってなったときに難しさも感じていた。

それ以来、ファシリテーションに興味を持って、ファシリテーションの第一人者とも言われている先生の講座を受けたりしながら学んでいる。
ヨル会議は自分にとって学んだことをすぐにアウトプットできる場。


最初は「広く深く」がファシリテーションのポイントなのかなと漠然と思ってたけど、トレードオフを感じたし、漠然としたゴールしか持ってないと、成果物も漠然としたものになってしまうことに気付かされた。
次に、「問う力」が大事だなと思うようになった。 
たとえば、「環境問題について考えましょう」じゃなく、「日常生活の中で環境について考える場面を3つ挙げてみましょう」とか「好きなものを1つ挙げてください。では、その好きなものと環境との間に関連性は無いかを考えてみてください。」っていう風に問い方をひとつ変えるだけで多様なアイデアが出やすくなる。


最近は、「『ファシリテーターはサービスの提供者で、他の参加者がお客さん』って意識になりがちだけど、実はファシリテーターもお客さんの一人。だから、ファシリテーター自身が感じてる感情の中に、実はすごく大事なヒントが隠されてる。疲れてきたなって感じたらみんな疲れてるんだよ。」っていう教授の言葉を聞いて、もっと自然体で、がんばりすぎずに、マイペースでやってこうと決めた。


振り返ってみれば、「言葉を交わす場をつくる」ってことに関して、理論的にも実践的にもスキル的にも取り組んでる。




2、モットーや好きな言葉



○モットー


「素直に」


「何かをしたいな」って思ったときに、突かれたら弱い要素がたくさんあると、言い訳をして諦めたり無かったことにすることがよくあった。
でも、物事って準備万端で始められるものなんてない。
だから、素直に自分の気持ちを言える自分でありたいなと思う。


○好きな言葉


「未見の我を発見せよ」


高校のOBさんが言ってた言葉。
色んなところに冒険したり、人に出会うたびに、跳ね返って自分を発見してる。
今までと異質な環境に置かれたときに、新しい自分の側面が見えることは、仕事でもプライベートでもすべてに当てはまると思うし、「こんな自分いるんや!」って気付いた時って、自分の中の可能性が広がるから豊かになれると思う。


「私とは何か」っていうのは自分の中で大きいテーマ。
きっかけは、上田閑照さんが書いた同じ題目の本を読んだこと。
内容が難しくて「呪文っぽいなあ」って思いながら読んでたんだけど、その中で唯一僕が理解できたのが「私とは、常に他者に開かれて、他者に定義される存在だ」っていうもの。「私は息子です。」「男です」「日本人です」っていうように、何か比較できる対象があるから、それとの比較の中で自分を定義出来るんだ、ってことらしい。
「私は私なんだ」って絶対的に思っちゃいがちだけど、「私」はあくまで相対的な存在なんだと思う。



3、自分の性格


○好きなところ
・柔軟で何でも受け入れるところ
考え方や価値観をシャットアウトしたり決めつけたりするんじゃなくて、一度すべて自分で触れて評価したい。
それは、相手に対する誠実さでもあるし、自分の可能性を拡大することにも繋がると思う。


○嫌いなところ
・優柔不断
こだわりが強くて、色んな評価軸から検討して迷ってるうちに何も選べなくなってしまうときがある。

覚悟を決めてやったら何かは得れるじゃん。決めて飛び込むことに意味があるわけで、飛び込んだらその先には学びや成長や何かしら気付けるものがあると思う。
選ばずに、決断せずに生きてきたことが多くて、結果的に自分で責任を負ったり、試練を乗り越えた経験が少ない気がする。



4、人生のターニングポイント


○学生団体に参加したこと


1年の冬、友達の友達が、「夢をみんなで語り合う場が欲しい」という思いから、学生団体DPSという団体をを創ることになって、その決起飲み会に誘ってもらった。
正直そういう活動や思いに対してナナメから見てたところがあったけど、そこに集まった人が面白かったから、団体のメンバーになった。そのときに初めて、コミュニティやチームに入ってイベントを創る経験をし、その中で「場づくり」の面白さに気付いた。


かっちゃんと出会ったカレッジカフェに参加するようになったのもそこで出会った人の縁だし、それ以降広がった人間関係は全部そこで出会った人を通じてもたらされてる。そう思うと、「人生って面白いな。偶然の産物でしかないな。」ってすごく実感する。

人と一緒に何かをやるっていうことは、大きな喜びになるし可能性を感じるなって思うようになったきっかけでもある。


○大学の入学式で右ではなく左に座ってた人に声を掛けたこと


浪人して仙台から京都に来たこともあって、周りにまったく知り合いがいなかった。
とにかく色んな世界を知ろうという気持ちで満ちてて社交的ではあったため、入学式で隣に座ってる子に声をかけようとした。
右に座ってた子は、とにかく真面目そうな子だった。
左に座ってた子は、明るくておもろそうな子だった。
左の子に声を掛けてみたら、実は高校も同志社の子だったから、周りの友達を紹介してくれて一気に友達が増え、入りたいサークルも見つかった。


逆の人に声を掛けてたら、違う世界が広がってて、全然違う人生になってたかもしれない。
右と左はちょうど「180度」変わるって言うしね。
日常には常に分岐点があるなって思う。

○愛の存在と大切さを知ったこと


大学1年の時に、小学校5年生以来の恋心を抱いた。
小学生のときの好きを遙かに超えた次元のもので、「やばっ!これが恋なんだ!」ってびっくりした。
自分にも恋が出来ることや愛情があることに感激した。
恋をして以来、世界がイキイキキラキラして見えるようになった。


充実感って、愛からくるものがすっごく多いと思う。
恋愛だけじゃない。家族愛、兄弟愛、モノへの愛、いろんな愛がある。
それはもしかしたら、愛着かもしれないし煩悩かもしれないけど、愛があるから頑張れることってすごく多いんじゃなかなって思う。


愛は他人を自分化すること、いわば「自我を拡張」したり「自己を拡大」することだと言いかえられると思う。
例えば、親は子どもの痛みを自分ごとのように感じて一緒に痛みを感じるし、子どもにとってうれしいことを一緒になって喜んだりできる。それに自分の友達や恋人が批判されたら怒りが湧くよね。

一般的に「私」って言うときは、生物学的には「個体としての私」を認識するけど、心理的には、「私」には私が愛するものすべてが含まれて同一化されてるんじゃないかな。


「愛」って大事だな、ってこのときに知りました。




5、モチベーション


○上がるとき
・はっきりと評価されたとき
お世辞じゃなくて、ズバッとした言葉を言われたら嬉しい。
良い言葉だったらもちろん、欠点を突かれて図星だってなったときも。
僕は、自分のロジックや世界観の中で一方的にしゃべっちゃうくせがあって、それが相手からするとしんどかったりするんだよね。そんな僕を見て、ある大人から「それって双方向にはたらいてないからコミュニケーションじゃないよね」って言われた。

以前にも注意されたことがあったからわかってたはずなのに、直せてなかった自分が悔しくてモチベーションが上がった。
でも、指摘してもらえたことへの嬉しさもあった。
はっきり指摘してもらえると、その人に対しての信頼も大きくなるよね。


○落ち込むとき
ずっと一人でいると気持ちが落ち込んでくる。
そんなときはとにかく外に出て人と話すようにしてる。



6、好きなエンターテイメント


○本
・「しあわせの理由」
・「タイタンの妖女」
・「星を継ぐもの」


SFが好き。
色々種類はあるんだけど、僕はハードSFが好き。設定が緻密で、「確かに前提がこうだったらこういう世界がつくられてくな」って納得できるから。


SFの魅力は、自分の世界や価値観を相対化できるところ。
極端に言えば「今、人間を殺しちゃいけない」のは当たり前のことだけど、もし時代環境が変わって、人間が再生できるってことになったら、殺人の意味も変わってくるでしょ。
それに「臓器移植が進んで、ほぼ全部の臓器が入れ替わってもそれは自分と呼べるのか?」とか、生命倫理や自我の問題にナナメから斬り込んで、フィクションの中でわかりやすく提示して突き付けてくる。
そんなタブーに挑戦する姿勢が好き。


○映画
・「ゴッド・ファーザー」
人があっさり死ぬし、簡単に兄弟や肉親を裏切ったり裏切られたりする。
愛情を注いだものや、時間を掛けて創り上げたものが一瞬で壊れるのって空しいよね。
「諸行無常」という言葉がぴったりの映画。

・「ニューシネマパラダイス」
映写技師のおじさんと少年が心を通わせていくストーリー。
音楽や映像がきれいで、すごくノスタルジックな名作。
もし見るなら、追加されたエピソードでどろどろした部分が出てきて、ノスタルジーを感じられなくなるから、ディレクターズ・カットはおすすめしません


○アーティスト
・空気公団



7、趣味


○コケ


「かわいいコケ」 っていうブログを書いてるコケブロガーの人がいる。コケの観察をしてその様子を写真に撮って載せたりしている、理解しきれないくらいのレベルでコケへの愛を持っている人。コケイベントに行ったときのことを報告をしてたことがあったんだけど、そのイベントがまたすごくて、コケに関するトークショーがあり、ランチはジェノベーゼソースを使い全部緑の料理をよそった「コケランチ」、コケの演劇やコケの演奏会まであるというものだった(笑)。

その人が書いた「コケはともだち」って本を読んで衝撃を受けて、銀閣寺で苔に目覚めた。
もともと「“縁の下の力持ち”に気付けてる自分すげえ」っていう心理があって(笑)、音楽でもベースがすごくすきだし、料理でもだしが気になるタイプ。
銀閣の場合、多くの人は建築や庭園や借景に興味が湧くけど、僕に言わせると「コケがあってこその銀閣」。



8、尊敬する人や憧れの人


○尊敬する人
「Aさんはこういう立場でこれをがんばってる人なんだ。偉いなあ。」っていうように、尊敬の中にはその人の立場になるプロセスが含まれると思う。
必ずしも自分がなりたいとは思ってなくて、相手を尊重することと同じような意味だからいろんな人に対して尊敬の気持ちを抱く。


○憧れの人

・研究者


自分が実現してない何かを実現してる人であり、「うらやましいな」「自分もあわよくばなりたいな」って感じる人が対象かな。



9、私の哲学:「働く」とは?


「働く」とは、事実認識としては、「何か他人に求められてることをして、対価を受け取ること」だと思う。
みんながもがき苦しむのは、「他人のニーズと、自分のやりたいこと・できることの共通部分を見つけるのが簡単じゃない」から。


でも、働いていく中で大切にすべきことは、やっぱり「愛」なんだと思う。
商売する取引相手や、職場の同僚や上司や部下に対して、どんな気持ちを持って関係を築いてくのかだと。
だから、仕事を通して「自己の拡張」ができたらいいなって思う。


僕が何かを施すことによって取引相手が良くなって、その先にいる取り引き相手の人が良くなって、っていう風に。それができるだけイメージできて、体感できて、意識できるところで働きたい。


ミシマ社の「小商いのすすめ」って本の中で、「自分の想像力や行為の及ぶ範囲の中で、そこを良くしてくことをみんながすれば、社会は良くなるでしょ」っていう風なことを書いててその通りだと思った。不特定多数の1万人に対して、効率性を追求して画一的なコミュニケーションを行った商売より、10人に対して濃密なコミュニケーションが行われた商売の方が、価値が高いと思うなあ。


今、僕はちょうど就活生。
言葉とかコミュニケーションに関する仕事に携われたらいいなと思ってるから、広告・出版業界には特に興味がある。
けれど、結局大事なのは環境であり、その環境を構成するのは人なのでそういう観点も大切に見ていきたい。


ただ、何か一つを掘り下げる研究職の方が向いてるのかなって気も薄々してるので、どんな道に進むかはまだわからない。



10、未来について


春からは、シェアハウスに引っ越すから生活環境が大きく変わる。
「人を集めて何かをしたい」って思いを持ってるシェアハウスだから、何か面白い企画をしようと企んでる。
あと、残りの大学生活で海外には行くつもり。


○理想の自分像


あらゆるものに対して開かれてる自分でありたい。
今までに触れたことのない異質なものに対しても近づきたいし、一度自分の中に取り込みたい。
そして、周りのものに対して愛を見出せる人で在りたい。


もっと未知のことへチャレンジして、人生の中の事件を増やさなきゃいけない気がするな。




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■My note■


もっくんとは、とある就活系のイベントで初めて出会った。
そのときは、私が寺社仏閣が好きであったことから話が派生して、コケについて少しだけしゃべったことを覚えている。


それ以来まったく接点は無かったんだけど、去年の7月にもっくんの主催する雑誌読書会に参加させてもらったときに再会した。
そこに集まった人は、「雑誌好き」「本好き」「読書会好き」などの気質がある、どこかしら似てて、雰囲気が柔らかめの面白い人が多かった。
興味・関心で人と繋がれることがこんなに楽しくてワクワクするんだってことを、この雑誌読書会で教えてもらった。
その後も「ブックch」に心ときめかされ、何度かヨル会議にお邪魔させてもらったのだが、彼のコミュニティや居場所、作り出す空気には、すべからくあったかさがあった。


もっくんは、自然のような人だなあと思う。
善悪を塗り付けるのではなく、対象のあるがままを受け入れられる、凪のような人に見えるから。
日常の機微に、耳を傾けられる感性を持っているから。
けれど内側には、きっと轟々としたマグマのような愛を抱いているのだろうと思うから。


苔の花言葉は、「母性愛」「信頼」「孤独」「物思い」だと知った。
どこか、もっくんに似ているような気もする。


あくなき探求心を持った航海者は、まだ見ぬ航路開拓のため、今日も海へと旅立つ。