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[一日一文]~僕が得た気付き~

世界、日本文学の中から感銘を受けた名文を一日に一つ紹介するblogです。
名文から得た知識を自分の人生に生かす英知にするべく、日々精進しています。

興味のある方は是非、読み続けていただければ嬉しいです。

「幸せです」
「これで良かったと思ってます」と口にした幸一は唇を引き結び、窓外へ目を向けた。
まるで自分に言い聞かそうとしている様子なのが、気になった。

幸せだと言い切ってしまうのも、不自然に思える。
いろんな形の幸せを見てきた。
その経験から言うと、「幸せか」と尋ねられて、「そう言えば、そうだ」と気付くくらいが、ちょうどいいようだった。

尋ねてもいないのに「幸せだ」と言う人は、そう思い込まずにはいられない状況であることが多い。

幸一はどうだろう。
彼の言葉通り、幸せだったらいいのだが。

(嫌な女)
桂望実著作

この本を購入するにあたり、僕はしばし躊躇していた。
タイトルと帯に書いてある読者の方の感想に惹かれ、この本がとても面白いものであることは直感でわかっていた。

しかし、表紙の左部分にはいかにも悪女然とした女性のイラストが飾ってあり、右部分には堂々と大きな明朝体で[嫌な女]というタイトルが。
まるで彼女が、私が嫌な女ですけど何か?結局男は私みたいな女が好きなんでしょ?とでも言いたげに、挑戦的な構成となっている。

これをレジに持っていくのには相当な勇気がいることを悟り、果たして自分は、「ええその通りです、あぁ女王様!」と表紙のメッセージに呼応する不審者として、侮蔑的な視線を浴びる勇気があるのかと熟考しながら、この本の半径3メートル以内をうろついていた。

そう、その行動が既に不審者として、他人から不審感あらわな視線を堂々と浴びていたことは、お構い無しに。

だがこんなことで挫けていては、良い本には出会えない!
何かを得るには犠牲がつきものなんだ!
そう自分を鼓舞し、近所の丘程度の頂きに辿り着いた僕の前にはなんと、純情そうなうら若き女性店員さんが、笑顔を向けて僕を待ち構えているではないか!

高尾山への登頂すら怯む僕の前に現れた純白のエベレスト。
お母さん、ごめんなさい。
小生は弱い人間です。
敵前逃亡、目指せ自意識過剰の頂へ。



・・・・ごめんなさい、ふざけ過ぎました。

まぁそんなこんなで結局は何とかこの本を購入し、近くの喫茶店で3時間位で読破しちゃいました。

予想通り、時間が経つのも忘れて一気読みする程の面白さでした!

タイトルにある通り、副主人公として登場する嫌な女、夏子は女性にはほぼ嫌われてしまう、男を手玉に取る悪女。

目をつけた男に「宝くじで100万円が当たったら何をしたい?
5万円分でいいから、私もその夢に参加したいな󾬌」と男の想像力&妄想を掻き立て、「人生でベストテンの良い出来事は?」と過去の思い出話の聞き上手に回る。

しまいには「今月の家賃が払えなくて・・・」と伏し目がちに言えば、財布からお金を出さない男がいるだろうか?

いや、僕は絶対出しませんけどね!俺は漢なのだ!
失礼しました。

まぁそんな悪女にも良い面はあるわけで、男たちは騙されお金を搾取される代わりに、しばしの夢を見させてもらった、たとえ束の間であったとしても、人生に彩りを与えてくれたわけです。

彼女もその戦法を騙す相手にだけ使うわけではなく、気まぐれではあるけれど無関係な人達にも同様に振る舞い、救われる人もいるわけで。
憎いけど憎みきれない存在として、気付けばそんな生き方をする彼女が魅力的に思えてしまう描写が素晴らしい作品です。

冒頭の名文はそれとは全く関係ない、主人公であり夏子の色々なトラブルを解決する弁護士の心情から取ったものです。

確かに幸せの多くは自分では気付けない、他人や出来事がもたらすきっかけで初めて気付くこと、気付けばそこにあるものだということが多いと思います。

ですが、自分は幸せだ!と思えることは、素晴らしき思い込み&才能だとも僕は思うんです。

どちらかというと苦しいことが多い人生の中で、それでも自分は幸せだと言い切れるのは、周囲の人や事物に対する感謝の表れ。
そして常にその気持ちを持っていれば、自然と相手が呼応し、同じ様な気持ちを贈りかえしてくれる。

だから、幸せだと思える人は、言い切る人は幸せになれるんじゃないかと。
ナポレオン・ヒル先生の言葉を借りれば、思考は現実化するんですよ、ね。

だから僕は自信を持って言い切れます、今自分はとても幸せだ!と(^-^)
ちなみに悪女に騙されてはいません!

今回は久し振りの更新もあって、大分長々と駄文を連ねてしまいました・・少しでも参考になる様なものが書けていましたら幸いです。

最後までお読み下さり、ありがとうございました、てへぺろm(__)m