子供の頃、私と弟は
家にあったお菓子作りの本を
繰り返し繰り返し
穴があくほど眺めては
「この中でどれが食べたい?」と
話し合って(?)いました。
ケーキを食べられる日は
お誕生日とクリスマス
くらいだったから
ケーキはすごく特別なもの
と思ってました。
だから、ちょっとお行儀悪いけど
お皿に生クリームが残ってたら
猫みたいにペロペロとなめてました。
うちは貧乏というほどでは
なかったものの、
よそのうちと比べたら
時々他の人がうらやましく
なることがありました。
そんな時、いつも母に
「人は人!自分は自分!」
と言われてしまうので
「またかぁ〜。」と心の中で
ガッカリしていました。😞
電車に乗ればわりとすぐに
デパートに行くことはできたけれど
デパ地下の食料品専門街
みたいなところに
母と一緒に行った記憶もないし、
出来合いのお惣菜が
晩御飯に出て来たことも
ありませんでした。
そのせいか生まれて初めて
出来合いのグラタンを食べた時の
衝撃を今でも覚えています。
うちのグラタンとは違う味
‥‥おいしいとは思いました。
家庭では食べたことのない味…。
いったい何が違うんだろう?🤔
のちに気が付いたんですが、
それは化学調味料の味
だったのだと思います。
そのグラタンは
私が今まで味わったことのない
複雑な味がしましたが、
母の作るグラタンは
もっとシンプルで
素直な味だったから‥‥。
私はたくさんの『物』は
持っていなかったけれど
母の手作りの出来立ての
食事のおかげで得たものって、
きっとたくさん
あったのだと思います。
母が驚いて
「どうしたの?」と聞きました。
「だってテーブルにのっている物
全部、私の大好物だから‥‥。」
母の気持ちが
料理から伝わってきて
涙と鼻水が出て困りながら
夕飯を食べたあの日、
また私は母から
大切なことを
教わったのだと思います。
手作りのお菓子も大好きです。