いらっしゃいませ

 

今日は2009年に公開されたミッキー・ローク主演の「レスラー」。

ミッキーロークと言えば「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「ナインハーフ」などでイケメンぶりを発揮。

1991年プロボクサーに転身、頑張りましたが、ボコられて顔を整形しなくてはならなくなり、見るも無惨な顔になり一気に日本での人気は低迷。

1992年には日本武道館でプロボクシングの試合のメインイベンターになりましたが、そのパンチたるや

 

ご覧のような「猫パンチ」。おまけにあごをかすっただけのようなパンチに相手はダウンのKO勝利!どう見ても八百長というかショーに過ぎないというか、マスコミにぼろくそに書かれました。

そんな調子ですから映画界に復帰後も、出演も脇役が多くな、仕事は減り、正に転落人生。

「終わった人」になってしまったのです。

 

物語は、かつてスターとして愛されたプロレスラー、ランディー。

しかし加齢と共にその存在は薄れ、収入もほとんど無くなり、スーパーマーケットで糊口をしのぐ毎日。

鍛えあげられた肉体もけがや古傷で言うことを聞かなくなり、試合の前にはコカインなどで昂揚させないとどうにもならない。

それでも、控え室に彼が現れると若いレスラーからはリスペクトされているし、試合の前のファンの集いなどでは、昔のファンが集まり、サインや写真をせがまれ、わずかな喜びとともに、「元」スターとしてのほこりも感じている。

 

彼は、好きな女性がいる。ショーパブで働く、ポールダンサーのキャシディだ。

 

 

彼は死んだ妻との間に出来た一人娘で別れて暮らしているのステファニーとの仲を回復させるにはどうしたら良いかと相談したりして、キャシディとの距離を縮めようとするが上手くいかない。

しかし彼にもビッグゲームのオファーが来る。

昔死闘とも言うべき熱戦を繰り広げ、伝説の試合と言われた相手との再戦なのだ。彼も久々のビッグなマッチメイクに心躍る。

 

しかし彼は試合後、心臓発作をおこし、ドクターストップ。リングから退くこととなり、ビッグゲームに出れないことをプロモーターに伝える。

一方、ランディは娘との関係修復を懸命にはかり、なんとか改善を図れるとこまでたどり着くが・・・

更に、ランディはキャシディにも交際を求めるが無碍に断られる。

仕事でも上手くいかなくなり、全く人生に希望が持てなくなったランディ。

彼は決死の覚悟でビッグゲームのオファーをふたたび受けることとする・・・

 

とにかくかっこいいんです!

同じ「終わった人」を描くのでも舘ひろし主演の「終わった人」とのあまりの違いよう!館の「終わった人」が悪いというので無く、日本で描かれる「終わった人」とアメリカが描いた「終わった人」の描き方です。

 

もちろん日本の方が現実的なのでしょうが、なんというか。館版は最後ハッピーエンドですが、そんなもん関係ねーよ!みたいなパワーが漲っているというか。

館版のラストは本当に「終わっている人」なんです。それを最後妻が包み込むような。人生晩年の夫婦愛、絆みたいな物が描かれていますが、ここにはそんな物無い。

館版の監督は「定年を迎えた人の応援歌」みたいなこといっていますが、どこがどう応援歌なのかさっぱり判らず、エンディングは確かに黒木瞳みたいなきれいな奥さんが会いに来てくれて。もしかしたら、館版「終わった人」を観たご夫婦の中には、突然旦那が優しくなって、そういう優しさを奥さんにも求めだして、迷惑している奥さん一杯いるんじゃ無いかななんて思ってしまいます(*^▽^*)

むしろ包み込んでくれる人がだれもいない場合も多く、本質に近いのはこっちのミッキー・ローク版ではと思ってしまいました。

ただなんか日本人だと、みんなしぼんで行っちゃうようなイメージですが、最後まで女を追っかけ、娘から罵倒され右往左往しながら、

人生をもがき続けますが、それがやけくそだって構わない。かっこいいんです、とにかく。他人から見たら「馬鹿!」っていう感じでも。

 

変に大人だから、分別のある歳だからとか言うので無く、最近はやりの暴走老人とも違う、自分のことは自分でけりを付けるという姿勢が、とてもかっこいい!こんなふうに人生全うできたら最高だなあ。

ミッキー・ローク、ほんとかっこいい!

若い頃はあんまり好きでは無かったけど、歳とってなんて素敵なんでしょ 。「猫パンチ」のことは水に流しましょう。

 

音楽が最高です!

80年代ハードロックが好きな方なら、音楽でも楽しめる。

クワイエットライオット、シンデレラ、ファイヤーハウス、アクセプト、

スコーピオンズなどなど。そしてなんと言ってもガンズ・アンド・ローゼズ!

「80年台は最高さ!ところがニルヴァーナが出てきて、みんなグランジになっちまった!90年代なんて最低だ!」のセリフは80年代ハードロックファンを泣かせますね!私はニルヴァーナも好きですけどね。

ランディの入場曲テーマソングはもちろんガンズです。

「Sweet Child O'mine」。

彼女の笑顔

少年の頃を思い出させる

どこにいても なにをしても

全てが新しかった この青空のように

 

顔をのぞき込むと

彼女は僕を特別な場所に連れて行く

ずっと見つめていたから

壊れて泣き出すかも知れない

 

スイートチャイルド 僕の恋人

スイートラブ 僕のかわいい恋人

 

まるで青い空のような瞳

もしも雨に濡れてしまったら

濡れた瞳は見たくない

心がチクッと痛むから

 

その髪は暖かな安心できる場所を思い出させる

子供の頃 かくれんぼをした

雷と雨に祈りを捧げよう

早く通り過ぎてくれるよう

 

スイートチャイルド 僕の恋人

スイートラブ 僕のかわいい恋人

 

まるで作品の中の娘に、または過ぎ去った自分の人生に捧げているような歌詞ではないですか!

ガンズのライブには2017年さいたまスーパーアリーナに行きました。前座はベビーメタルで大盛り上がり。ガンズもまさかのスラッシュ、ダフマッケイガンも揃い、素晴らしいステージングでした。

 

ミッキー・ロークはプライベートでもガンズのライブに行き、魅了されていたようです。予算がなかった今回の作品での曲使用も無料で使わせてもらえたとかで

エンドロールでは

Original Score Guiter  SLASH

そして

最後の最後に

SPECIAL THANKS TO AXL ROSE

とはいります。

 

かっこいいなぁ。すべてがかっこいい!

ランディの人生、ミッキー・ロークの人生、アクセル・ローズの人生。みんなの人生が描かれているような作品でした。

 

それではどうぞごゆっくりとお過ごしください。

 

2008年アメリカ、フランス 109分 配給 日活

原題 The Wrestler

Staff

監督 ダーレン・アロノフスキー

制作 スコット・フランクリン

制作総指揮 パンサン・マラバル

         アニエス・メントル

         ジェニファー・ロス

脚本 ロバート・D・シーゲル

美術 ティム・グライムス

撮影 マリス・アルベルチ

音楽 クリント・マンセル

Cast

ランディ・ロビンソン(ミッキー・ローク)

キャシディ(マリサ・トメイ)

ステファニー(エバン・レイチェル・ウッド)

 

2019/4/22 Shichirigahama