2024 原爆の話 その11 JCO事故 | 夢破窓在のブログ

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2024 原爆の話 その11 JCO事故

夏になりました、原爆の話題が巷を賑わす季節です。
恒例の原爆の話(毎年同じような)を展開します。

JCO事故

原爆は「超巨大火炎放射器」と「中性子爆弾」の二つの要素を持ちます。
中性子爆弾を被曝するとどのような事になるのか?
中性子線被曝の事例として参考になるのがJCO事故の事例です。
ググってみると、
日本原子力産業協会 JCO臨界事故の概要(参考)
これに詳しい説明が載っています。
と言っても例によって、この手の話は丸々信用するわけには行きません。

例えば3人の被曝量
大内さん(以下Aさん)   17Sv
篠原さん(以下Bさん)   10Sv
横川さん(以下Cさん)    3Sv
と書いてあります。

内径45cmの沈殿槽(思っていたより小さい)の中の、硝酸と純水にウランを溶かし込んだ溶液の中で臨界が起きた。
発生した熱は溶液に吸収された。

作られた核のカケラが崩壊するとベータ線とガンマ線が発生しますが、臨界が中心部で起きたとすれば、これらの放射線は半径22.5cmの溶液の壁を透過して3人に被害が及ぶとは考えられない。

人体の60%は水で出来ていますから溶液のようなもの、被害を与えたのは中性子線だけという事になります。
中性子は臨界点から球状に拡がりますから、臨界点からの距離の二乗で減衰する事になります。
Aさんの臨界点からの距離を沈殿槽のサイズからして50cmであるとします。
沈殿槽の臨界点から1m離れていた人がいたとすると、距離は2倍で被曝量はAさんが浴びた17Svの4分の1の4.25Sv。
3Svを被曝したと言うCさんは沈殿槽から2mも離れていなかったという計算になります。

隣の部屋にいたというCさんと臨界点との距離が2m以下なんて事はありえません。
報道でも10m以上の距離があったと伝えられています。
距離の比が20倍以上であれば、隣室にいたCさんの被曝量は400分の1以下になる筈なのです、それで命を取り留めたのです。
上記のCさんの被曝量は出鱈目です。

核分裂数は2.5x10^18個だそうです。
1gのウラン235に含まれる原子の数は2.56x10^21個ですからほぼ1mgのウラン235が核分裂した事になります。
1回のウラン235の核分裂で新たに1.2個の中性子が発生したとすると発生した中性子の数は3x10^18個。
ウラン235の核分裂で生じる中性子の持つエネルギーを2Mevであるとします。
1個の中性子は、放出されると沈殿槽の液体の水素原子に1回衝突して、平均して半分のエネルギーを失うものとすると、沈殿槽から出て来た中性子の持つエネルギーは平均1Mev。
この中性子がAさんに衝突し、体内の水素原子に衝突してエネルギーの半分を失うとすれば、Aさんは中性子1個当たり0.5Mevの被曝を受ける事になります。

Aさんの被曝量は17Svと書かれています。
シーベルトで表示されていますから放射線荷重係数が乗じられた結果の数字です。
中性子線の放射線荷重係数は5~20ですが、ここでは5として考えるとAさんの被曝量は3.4グレイ(ジュール/kg)になります。
WikにはAさんの被曝量はこうあります。
16 - 20 GyEq(推定16 - 20シーベルト以上[2])の放射線被曝をした
16Gyを被曝したのなら80シーベルト以上になる筈なのですが、当方の理解に問題があるのか?

3.4ジュールはMevに換算して2.122x10^13Mev。
0.5Mevの中性子の数にして4.24x10^13個
Aさんの体重を70kgとすると浴びた中性子の量は2.97x10^15個
3x10^18個発せられた中性子を、至近にいたAさんはその約1000分の1しか浴びていない計算になります。
Aさんの被曝量が17Svになる事は考えられません。

沈殿槽から八方上下に放たれる中性子の10分の1をAさんが浴びたとすれば、
 3x10^18÷10=3x10^17個
Aさんの体内で水素原子と衝突して放たれるエネルギー量は、
 3x10^17x0.5=1.5x10^17Mev
ジュールに換算して2.4x10^4ジュール。
Aさんの体重を70kgだとすれば1kg当たりの被曝量は343グレイとなります。

上記に書かれている3人の被曝量は出鱈目です。

広島原爆もJCO事故も臨界点があって、核の連鎖が始まって、それなりの距離にいた人が中性子を浴びて被曝被害に遭った、この点で仕組みは同じです。
違いは反応したウラン235の量が1mgであったか、816gであったかです。
81.6万倍の差があります。
広島原爆で発せられた中性子は2.51x10^24個、距離は600m。
爆心直下1㎡に届く予定の中性子の量は球の表面積で上記を除して、広島では              2.51x10^24÷(4x3.14x600^2)=5.55x10^17個。
人体の断面積を1.7x0.4=0.68㎡だとすると、爆心直下で大の字で寝ている人が浴びる予定の中性子の数は3.774x10^17個。
臨界で発生した中性子の10分の1を浴びたAさんよりも少し多いという事になりますが、原爆で発生した中性子は反射板や火薬による圧縮で激しく衝突してエネルギーを失います。
JCO事故のように1個当たり平均0.5Mevとは行きません。
ずっと少なくなっていると考えられます、どれ程が地上に届き、人体に以外を及ぼすのか?

これに関する資料はどこかにあるのでしょうか?
あっても信用できないし。
例えばWik(広島市への原子爆弾投下)には、
爆心地の地表に到達した放射線は、1平方センチメートルあたり高速中性子が1兆2千億個、熱中性子が9兆個と推定されている。
と書いてあります。

とある資料によりますと中性子は持っているエネルギー量により、
熱中性子    0.5ev以下
共鳴中性子   0.5~1Kev
中速中性子   1Kev~0.5Mev
高速中性子   0.5Mev~
このように呼称されているとあります。
別の資料では、高速中性子とは100Kev以上のエネルギーをもつ中性子、熱中性子は0.025ev以下のエネルギーと定義されたりしています。

事件は体内の幹細胞が中性子の衝突を受けて機能不全を起こして発生しているのです。
熱中性子と言われるレベルのエネルギーでの卓袱台返しはとてもじゃないが無理。
ここでは乱暴ですが「幹細胞機能不全」を発生させるのは高速中性子、0.5Mev以上のエネルギー量を持つものとしてみます。
Aさんに衝突したのは1Mevの中性子です。
衝突時に失われた0.5MevがAさんの被曝エネルギー。
1c㎡あたり1兆2千億個が到達したとすると、1㎡あたりでは
 1.2x10^12x10000=1.2x10^16個
爆心直下で大の字で寝ている人の断面積を0.68㎡とすると被曝個数は、
 1.2x10^16x0.68=8.16x10^15個
JCOのAさんに比べて36.8分の1の量になります。
少なすぎるような気もしますが、9兆個もの熱中性子が作られる環境であればこんなものかも知れません。

JCO事故のCさんの、Aさんとの距離の比が20倍(50cm:10m)であるとすると被曝量は400分の1。
命を奪われる事はありませんでしたが、骨髄移植を実施したという話がありますので造血幹細胞機能不全(白血病状態)にあった事は確かなようです。
この辺が生死の境界だとしたら、直下で大の字の人は36.8分の1ではとても助からない。

爆心直下から600m離れていると、直下に比べて爆心からの距離が√2倍になり被曝量は2分の1、これでも助かりそうもない。
爆心直下から1800m離れている人は距離が√10倍になり、被曝量は10分の1。
Aさんの368分の1になりCさんよりも多く浴びる計算ですが、Cさんが横から浴びているのに対して、被曝者は斜め上から浴びていますから、被曝中性子の数は少なくなります。
この距離くらいに被曝量生死の境界があったのかも知れません。

3km離れているとどうか?
被曝量は爆心直下の26分の1になります。
JCO事故のAさんに比べて36.8x26=956分の1。
約1000分の1。
昼間の事とて多くが立って作業をしていた、爆心に対して横向きの人もいる、しゃがんでいる人もいる、直下大の字の人とは姿勢に大きな差があります。
爆心に対し横を向いていただけでも2000分の1以下になる。
3kmの範囲の外にいた人は殆ど助かるのではないか?

あくまでも高速中性子量1兆2千億個、0.5Mevの中性子で幹細胞に影響が出ると言う前提での話です、責任は持てません。


この写真はNHKの番組で公開していた、爆心直下から2kmほど離れた、御幸橋の光景を写した写真です。
被曝当日の写真でNHKでは「助かった人」としています。
微妙な距離ですね、爆心に近い方からここに来た人もいると思います。
幹細胞機能不全は4日後くらいから症状が出ます。
写っている多くの方は「助かっていない」のではないでしょうか?

写っている方の中に助かった女性が2名いらっしゃって40年以上存命でした。

この写真の郵便局は爆心直下から1600m離れています、ここで勤労奉仕中に被曝しました。
コンクリートの壁と多数の人の中で作業をしていた、運よく何人もの人の壁を介して中性子を浴びた、しゃがんでいるなど姿勢で恵まれたのかも知れません。
郵便局の周囲の木造の建物にいた人々は助かっていないのではないか?

かなり乱暴な試算ですが、距離と姿勢が運命を決めます。

(参考) 日本原子力産業協会 JCO臨界事故の概要

https://www.jaif.or.jp/ja/news/1999/1207-1.html

(一言)

掲載は一日置きにする予定です。