5枚おろし 追加版 その3 | 夢破窓在のブログ

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5枚おろし 追加版 その3

「心臓手術で私はCTスキャン1回の検査で7mSvを浴びている。」
「年に2回検査をしたから14mSv」


これを年間被曝規制量「1mSv」と比較して14倍の被爆と考えて良いのでしょうか?

二つの被爆例を比較して見ます。
被曝例 1)
2.8マイクロSv/hrのセシウム137放射線を1日1回1時間被曝するとします。
年間365日浴びると蓄積総被曝量は1.022mSvになります。
1時間に2.8マイクロSv浴びると言う事は1秒間あたりの被曝量は7.78x10^-4マイクロSvの被曝です。

被曝例 2)
CTスキャンによる被曝量ですが文献によって様々です。
Wikには6.9mSvと書いてあります。
測定目的や部位によって被曝量が違ってきますから、単純には決まりません。
20mSvを浴びるケースもあれば1mSvのケースもあるようです。
6.9mSv、これだけ浴びたとして比較します。
CTスキャンは胸部レントゲンなどより照射時間が長いと思いますので、2秒間被曝しているものとします。1秒間当り3.45mSvです。

1)と2)の1秒間の被曝量の比率は、
 3.45÷7.78x10^-4=4.436x10^3
約4500倍違います。
2秒間では約9000倍になります。
これを年2回行なって4秒間浴びたとして、14倍の被爆量と言って良いのでしょうか?
片方は2秒間の被爆で2回です。もう一方は1時間の被爆であり、毎日続きます。
エネルギーの被爆ですから浴びるそばから冷めて行きます。

同じ1mSvと言っても、
1年間に1回だけ1秒間1mSvをあびるのか?
1年間に365回だけ1秒間(1÷365)mSvをあびるのか?
1年間に365x24回だけ1秒間(1÷365÷24)mSvをあびるのか?
1年間ずっと毎秒(1÷365÷60÷60)mSv浴びるのか?
人体に対する影響は大きく違ってきます。

火傷をする危険があるのであれば、1回あたり大きな量を浴びたほうが危険が増すと思われます。
活性酸素の製造と言う事ではエネルギーの大きさより、浴びる時間の長さの方が問題になりそうな気もします。加えて普段日常の生活で発生する体温のエネルギーに比べてどれ程影響が大きくなるのかを考慮しなければなりません。
普段の人の体温の発生エネルギーに比べてずっと少ない量なのだとしたら、放射線で活性酸素が発生したとしても影響は無視できます。

言えることは「年間1mSv」という量の把握でものを考えるのはイカサマだという事です。
被曝時間と被曝回数を示して比較しなければなりません。


もう一つ考えるべきなのが放射線の種類です。
Cs137のガンマー線は0.6617MeVのエネルギーを持つ光子を放ちます。
CTスキャンはX線です。
X線の波長は10nm~1pmとなっています。これ以上短いとガンマー線と呼ばれるわけですが、医療用に使われるX線は1pmより短くてもX線(特性X線)と呼ぶそうです。CTスキャンではタングステンへの制動放射で発生する0.2MeVのエネルギーをもつX線を照射します。
光子1個当りのエネルギーはCs137の方が3.3倍大きいと言うことです。
通常の胸部X線撮影で使用するのはこれほどエネルギーの大きいX線ではないようです。

放射線治療に使われるコバルト60の場合エネルギーは1.17MeVあります。
特性X線の5.867倍になります。
1個あたりのエネルギーより、合計何個の光子がぶつかるのか?の方が与える影響は大きいのは当然です。

5.867倍、これが何を意味するのか?
「線エネルギー付与(LET)」という把握の仕方があります。
1ミクロンあたりどれ程のエネルギーが撒かれるのかという単位です。
                       Kev/ミクロン
  60Co(1.1732MeV)ガンマー線    0.3
  200 KeV 特性X線           2.5

エネルギーが強ければ奥まで進んで行きますので「1ミクロンあたり」の放出量は少なくなるようです。
1ミクロンあたりでの被曝量を考えると、特性X線の方がエネルギー量が大きくなりますから、活性酸素も活発化しそうです。
一方でコバルト60ガンマー線は特性X線よりも長い距離、広い範囲に影響を及ぼします。

「年間1mSv」というのがコバルト60の放射線を前提にしたものであった場合、CTスキャンの被曝をした武田さんは1ミクロン当たりでは8倍のエネルギーを被曝していることになります。

周波数が長いほど1ミクロン当たりの被曝熱量は大きくなるのか?
だったら可視光線や赤外線の方が影響する範囲が短いとしても、1ミクロン当たりに浴びるエネルギー量は多くなるのか?

波がゆっくり入ると、エネルギーは励起・遷移を繰り返して次々と隣の分子に波及してゆきます。1ミクロン当りの被曝熱量が多くても、熱が拡散して冷めて行くので、その部分の被害は小さくなります。
広く伝播するということは良く温まるということです。
遠赤外線なんて、言葉を聴いただけで暖かくなってきます。

「年間1mSv」なんて何の参考にもなりません