疑問符の22: ある人のブログ 2 | 夢破窓在のブログ

夢破窓在のブログ

放射線とは何か?
放射能とは何か?
福島事故とは何か?

福島事故 疑問符 「?」

 疑問符の22: ある人のブログ 2

2014年9月1日付けのある人のブログから抜粋。
(再掲)
 私自身、東電が撤退又は退避を検討したことがおかしいとは思っていない。通常の火力発電所や化学プラントの火災であれば燃料が燃え尽きれば自然に鎮火する。それまで現場を離れて待つのも十分考えられる。
  しかし原発では核燃料は永久的に燃え尽きない。コントロールできなくなると福島原発第一と第二の10基の原発と11の使用済み燃料プールから大量の放射性物質の放出が続き、東日本が壊滅する可能性が高かった。私はこうしたことを考えて、15日早朝清水社長を呼んで「撤退はあり得ない」と言った。その後、5時半ごろ東電本店に行って、「何としても、命がけで、この状況を抑え込まない限りは、撤退して見過ごすことはできない」と訴えた。
--------------

東電福島第一の2、3号機の出力は78.4万kw。燃料棒集合体の数は548本。
1本あたり0.143万kwの熱を放出して燃えているわけです。
使用済み燃料プールに存在する燃料棒集合体は半減期の短い放射性物質は崩壊が終わっており、前々回の計算の通り200W以下です。
ここでは発熱量を集合体1本あたり300Wとして計算してみます。
使用済み燃料棒集合体の発するエネルギーは4767分の1以下にになっていると言う事です。

制御棒が挿入されて燃焼は終わっているのです。
崩壊熱を放出しているのを燃えているとは言いません。
半減期が30年の放射性物質の崩壊量は120年で16分の1になります。「永久的」という言葉も疑問です。
プルトニウムの半減期は24000年でこれなら永久と言えなくもないのですが、これはPu239の話です。発熱量は僅かなもので、とても燃えていると言える熱ではありません。

原子炉の燃焼は制御棒が挿入されて核分裂の量が減る=熱中性子の量が減ると自然鎮火します。減速剤の水がなくなっても同様に鎮火します。
生成された毒物質に熱中性子を吸われて連鎖反応が進まなくなるのです。

化学プラントの火災は燃料が燃え尽きるまで燃え続けますが、原子炉はいくら燃料があっても、熱中性子のバランスが維持出来なくなれば自然鎮火します。

一度鎮火してしまうと、時間をかけて毒物質の崩壊を進めた後に、使用済みの燃料の内の古い燃料を取り出し、新しい燃料を適切に配置しないと再度連鎖反応が進行する事はありません。減速材である水が確保されていることが条件です。

医療用の放射線治療器には強い崩壊熱を発するコバルト60がセットされています。これを「燃えている」と表現するでしょうか?
連鎖反応が終わり、反応余熱が無くなれば、残るのは崩壊熱だけです。
化学プラントの火災と比較して「まだ燃えている」と表現する感覚が理解できません。

「コントロール出来なくなる」とはどういうことでしょうか?

使用済み燃料棒はホウ素を塗った筒に収めてプールに置いてあるだけで、これといったコントロールはしてないと思います。
水が減ったら、その分だけ足していればよいのですが、これだとプールの水は沸点の100℃近くの湯になります、簡単な熱交換器で水を循環させて冷やしているのです。冷やさなくても簡単には水は蒸発しません。

1200トンの水を蒸発させるのにはどれ程の熱が必要なのか?
水1モルを蒸発させるには気化熱だけで40.8kジュールを必要としますから、
 (1200x10^6÷18)x40.8x10^3=2720x10^9ジュール
使用済み燃料棒集合体という名の300Wのヒーターが1000本あるとして発熱量は3x10^5W(J/秒)。
 2720x10^9÷3x10^5=907x10^4秒=2519時間
1200トンの水を蒸発させるのには気化熱だけで2519時間=105日かかるという計算になります。
1日あたり11.4トンの水が気化するわけですから、傍からみれば湯気が立ち上がって直ぐにも水が無くなってしまうように思えますが、そんな事にはなりません。
水位が燃料棒の半分以下になると上部が熱を持つとしても、空気に触れて水が冷えることも考えれば、1200トンの水があると1ヶ月以上は水を足さなくても水位が半分以下にはなりそうもありません。
消防車なんてぶっ壊す必要は無かったのです。

余震でプールが崩れる?
使用済み燃料棒集合体の重さは1本180kg程です。
これが1000本置いてあるとして180トンです。
プールの水の量を1200立方メートルとして重量は1200トン。
これだけの重量を支える建築物です。あの地震でも壊れる事はありませんでした。
地震などで壊れるような建物では1200トンは支えることはできません。

「余震で壊れる可能性がある」などと言い出す人がいます。
「そんな事あるわけない」と言い返せる人は東電にはいません。アホらしいと思っても「支柱を取り付ける」などと返事して無駄な工事をします。
「ほら見ろ、今頃になって工事を始めた、あんなつっかえ棒では大して役に立たない、その内に崩れる」などと言われます。
東電のやることは全てこの調子です。
「アホぬかせ、1000トン以上の重量物が載っていて、あの地震で何とも無かったのに、その後に何回も強い余震があったのに、今更余震なんかで壊れるわけないだろが!今ひび割れしてる?そんな状態で1000トンが支えられるか!」
くらいの返事をしてもらいたいものです。
こんな工事で電気代を値上げされたのではたまったものではありません。

(続く)