疑問符の9: 高温平衡 | 夢破窓在のブログ

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 疑問符の9: 高温平衡

以前、超臨界流体の話をしました。炉内の圧力が221気圧、蒸気の温度が374℃を超えると、水は超臨界流体となります。超臨界流体は腐食性が強いので燃料棒の被覆管を損傷する可能性があるという話でした。

SR弁の作動圧力は普段の運転時の炉内の圧力が70気圧ですから、それ以上に設定されていなければなりません。作動圧力は80~90気圧に設定してあると考えられます。
これより大きな圧力になることは考えられません。

隔離時冷却系のタービンからも蒸気は出て行きます。
こちらはさらに炉内の圧力を下げる力がありそうです。

となると221気圧の「超臨界流体の話」はSR弁の作動圧や、熱交換器の配管の耐圧を考えると無理があるようです。

SR弁を閉じて、熱交換器へのバルブも閉じて、勿論注水なんかせずに見守ったらどうなったでしょうか?
こうなれば超臨界流体は登場可能です。
炉内の水蒸気が超臨界流体化してしまうと、炉内の圧力は増えずに超臨界流体の密度が増して行く事になると思われます。それにつれて超臨界流体の熱伝導度は高まり、圧力容器の鋼鉄は真っ赤になって熱を輻射したと思います。
圧力容器の底が破ける事態になるのかどうか?
熱の輻射量が、発生する崩壊熱と平衡状態になると温度上昇は止まります。

もし平衡状態が実現するのだとしたら、冷温停止などせずに高温停止にしておけば圧力容器から放射性物質を外部に出さずに済んだ筈です。
1週間もすれば半減期8日の沃素131の崩壊エネルギーは半分になります。I131より短い半減期の物質はいずれも崩壊を殆ど終えることになります。

SR弁を強制的に閉じるバルブを用意しておくべきでした。
熱交換の配管の入り口にも配管に高圧がかかること無いように管を閉じるバルブを備えるべきでした。
隔離時冷却系のタービンへの経路も封鎖するべきでした。
そうして温度が1000℃で輻射平衡状態に達すれば、放射性物質は外部に排出する事はありませんでした。

格納容器内にはスプリンクラーのような装備もあり、交流電源が回復したら、これを使って冷やす方法もあります。

温度が1500℃を越えて輻射平衡状態が確保出来なければ底の部分が崩れます。
いわゆる「メルトスルー」と話は同じになります。
同じ「メルトスルー」になるのならこちらの経路をたどる方が平衡状態が期待できるだけましだったと思います。

水酸化セシウムは圧力抑制プールがパンクして拡散しますが、セシウム以外の放射性物質は格納容器内に留まります。
このまま放って置けば良かったのです。

ところが、圧力容器に大量の水を送り込んで洗浄した人がいるのです。
出てくるはずの無い水酸化ストロンチウムまでもが水に溶けて排出されました。

幾つのも「汚染水」タンクを作る事になりました。

この水をどうするのか?

鯉や亀を飼ってみて1ヶ月間命に別状がなかったら、安全宣言をして海に流す。

気化しそうな成分は化学反応で気化しない物質に変え、煮立てて水を蒸発させる。
残った粉は蛍光剤と混ぜて再利用を考える。

やれ氷壁を作るのどうするの、お金をかけずにジタバタやって、海に「汚染水」とやらをたれ流し続けて減らしてゆく方法もあります。
外国から文句を言われたら、こんなもん事故直後の排出量に比べたら「ン万分の1」だ、今更文句を言うな!と開き直ります。
それでも文句を言われたら、お前らが核実験で空にばら撒いた放射性物質に比べれば「ン百万分の1だ」、ゴタゴタぬかすなら、核実験で撒いた放射性物質を掃除してから言え。

てなもんですな。