第55回 ノースカロライナ | 夢破窓在のブログ

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放射線とは何か?
放射能とは何か?
福島事故とは何か?

2013/09/22 読売新聞

【ロンドン=佐藤昌宏】英紙ガーディアンは21日、情報開示された米機密文書を基に、米南東部ノースカロライナ州で1961年1月に起きた米軍爆撃機からの水爆落下事故で、地面に落ちた水爆2発のうち、1発が爆発寸前の状態にあったと報じた。

 事故の発生自体は公表されていたが、米政府はこれまで、爆発の危険性を繰り返し否定してきた。この水爆は、広島に投下された原爆の260倍の威力があり、爆発していれば、首都ワシントン、ニューヨークなどに「死の灰」が降り、数百万人が生命の危険にさらされたという。


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水爆に入っている起爆用の原爆は、広島で使用されたものに比べてどのくらいのウランまたはプルトニウムを搭載していたのでしょうか?起爆が目的であれば最小限のもので良いと思われます。飛行機やミサイルに搭載するには重たいプルトニウムは出来るだけ少なくしようと考える筈です。

ウラン又はプルトニウムが核分裂しない限りセシウムやストロンチウムは発生しません。

爆発したとして発生するセシウムやストロンチウムの量は広島を大きく下回るものだと思われます


水爆の核融合で放射性物質は生成されるのか?

DT反応といわれる重水素と三重水素の融合では生成されるのはヘリウムと中性子でいずれも放射能はありません。(中性子自体は放射線とよばれます。)


 D+T=H4+3.5MeV+n+14.1MeV  ・・・・(1)

燃えなかったトリチウムは拡散するでしょうが、弱いベータ線を出すだけです。燃えなくても灰というのですかね?

どんな形をしているのでしょうか?単体だったらヘリウムより軽いものですから空のかなたに飛んでゆくと思います。


「死の灰」とは何を指すのでしょうか?

「死の灰」で死んだ人は広島・長崎に何人いたのか?

熱線の被曝で大火傷をした人は死の灰を被ろうが被るまいが助からなかったと思います。問題なのは「あの灰さえ浴びなければ助かったのに」という人が何人いたのかという事なのです。それが「死の灰」であって、そういう人がいなかったとすればただの灰です。


この記事はどのような物質がワシントンやニューヨークに降って数百万人が死ぬといっているのでしょうか?

広島より遥かに大量の放射性核種を撒いたと言われる福島では一人も死んでいません。


ビキニの実験では第五福竜丸の所までサンゴ礁の塵が届いたようです。その塵から放射線が観測されたようです。でもそれでバタバタと人が死んだと言う話はありません。あの時の爆弾は広島の1000倍、第五福竜丸の位置は爆心から160kmと書かれています。


今回の爆弾は260倍で、ワシントンは事故現場から360kmはなれています。

 (260÷1000)x(160÷360)=0.116

単純に約10分の1ということなのですが、爆弾の威力に比例して塵が届くというものでもなさそうです。

力と距離が10分の1になれば100km以上も遠くには塵は降らないのではないでしょうか?


核融合エネルギーの直撃を受けるノースカロライナはたまったものではないでしょうが、ワシントンは360km離れています、ニューヨークはワシントンから更に370kmも離れています、放射能で人が死ぬ事があるものだと仮定しても遠すぎます。


TNTの1トンの発生熱量は4.184x10^9ジュール(Wik)とされています。

広島原爆は15キロトン、62.76兆ジュールの熱を発生させました。

この260倍と言うのですからこの水爆の発熱量は1.63x10^16ジュールと言うことになります。MeVに換算すると、

 1.63x10^16x6.24x10^12=1.02x10^29MeV

上記(1)式から核融合1回当たりの発熱量は17.6MeV。核融合回数は、

 1.02x10^29÷17.6=5.79x10^27

1回につき1個の中性子が発せられるのですから、発生した中性子の数もこれと同数です。

1m離れてこれを被曝した人がいたとすると、浴びる中性子の量は八方に飛び散るものとして、 5.79x10^27÷8=7.24x10^26個

ノースカロライナ州ゴールズボロはワシントンから360kmの場所にあります。

中性子の被曝は距離の2乗に反比例しますから、ワシントンにいる人が浴びる量は

 7.24x10^26÷(360000^2÷1^2)=5.586x10^15個


JCOでAさんが被曝した量が7.2ⅹ10^17個(参照:第56回 JCO)ということですから約100分の1という事になります。但しこれは距離だけを考えたもので、この間に存在する窒素と酸素と水素(水=湿気)の抵抗による減衰を考えれば、ワシントンには幾らも届かないと思われます。ましてニューヨークでは中性子線による被害は考えられません。


広島で核分裂したU235の原子数は1.964x10^24個。1個当たり2.3個の中性子を放出するとして、放出された中性子の数は4.517x10^24個

 5.79x10^27÷4.517x10^24=1.28x10^3

熱量では260倍と書かれていますが中性子の量は1280倍になります。

ワシントンに被害は及ばなくてもノースカロライナでは中性子線による被害が広島とは違った形で出るのかもしれません。

セシウムやストロンチウムの量は起爆用の原発のサイズが軍事機密で公表されることはないので判断できませんが、恐らく広島の半分以下でしょう。


広島原爆260倍というのは積んだ燃料が予定通り燃えたらという話ではないでしょうか?実際に爆発させたらこの半分以下なのかも知れません。


それにしても落ちただけで爆発するなんて本当にあるのでしょうか?

拳銃でも安全装置が外れたからといって銃弾は発射されません。

引き金が引ける状態になるだけなのではないでしょうか?


「原爆の260倍の威力」と書いてありますが、

セシウム・ストロンチウムの量    半分以下

核エネルギー              260倍

中性子線量              1280倍

という事です。


ノースカロライナで何人の人が亡くなる事になるのか知れませんが、ワシントンや、ましてやニューヨークに死の灰など降る筈もないし、数百万人が生命の危険にさらされたという事は考えられません。