世界経済が熱い~経済外交の戦略 | 幸福実現党・学生部

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最近、防衛・外交の話題ばかりで正直、少し疲れました。幸福実現党立党の最大の理由は、国防上の問題からですからですし、今我が党として最も重要な問題は沖縄県知事選挙、つまり、普天間基地移設問題に象徴される日米同盟の問題、それらから尖閣危機によって白日の下にされされた中華帝国主義の野望、それに対する我が国の防衛状況の問題ですから、最近はもっぱら街宣もブログこの問題です。正直、同じことを訴えるのって疲れます。たまには別のことも発信したくなります。





というわけで前置きが長くなりましたが、今、世界経済が熱い!!





現代のケインズ現れるか!!新しい国際経済秩序は生まれるのか!!という状況にあると思います。





今回ソウルで行われたG20では、通貨安競争是正や世界経済の不均衡是正のための具体案は定まらなかったようですね。中国への包囲網の形成を米国は狙っていたものの、逆に米国の追加金融緩和によるドル安傾向やインフレが途上国に波及していると中国(途上国の代表として)に厳しく批判され、米国が提案していた経常収支目標はドイツのメルケル(経常収支黒字国を代表して)からも突っぱねられ、中国包囲網どころか、むしろ米国包囲網が築かれるというような状況であったようです。





通貨安競争というのは、例えば中国の人民元が政府介入の下に一定の枠内で固定されていたり(中国経済の実体よりもかなり安く)、米国の追加金融緩和の影響でドル安の傾向にあるということなどです。なぜ通貨安競争が問題であるかというと、通貨が安くなるということは自国の製品・サービスが安くなり、他国のそれが高くなるということなので、ある意味、関税をかけて保護貿易をやっているのと変わらないからです。各国が通貨安競争に走り、ある種の保護貿易競争になると、第2次世界大戦前のような状況になります。つまり、自分の国の貿易黒字のために頑張れば頑張るほど、貿易の取引そのものが小さくなり、結果的に自分の首を絞めるような状況、近隣窮乏化が起こるというわけです。経済において一人勝ちはありえない、ということです。





というわけで米国は人民元の不当な安さを批判し、中国は米国の金融緩和に伴う自国通貨安政策とインフレ波及を批判しているわけです。人民元が安く固定されているという米国の批判は妥当ですが、実はそれと同じような文脈で米国の金融緩和を批判的に扱うメディアの姿勢は間違ってます。それについては後で述べます。





他方、世界経済の不均衡の問題というのは、世界の国々の経常収支(貿易収支など)が赤字の国はどんどんその赤字が大きくなり、黒字の国はどんどん黒字が大きくなっているという状況です。経常収支赤字の国の代表は米国です。米国はGDPそのものが大きいので、今のところ財政破綻の危険性は低いようですが(近い将来にはわからない、少なくとも日本よりは危険度は高い)、経常収支の赤字が大きく、かつ他国からの借金によって自国のビジネスが成り立っていたような国はリーマン・ショック以来、次々と経済危機に陥っております。





このように言うと赤字の国が悪いのであり、解決策は赤字の国が努力して黒字を目指すしかないと考えがちですが、マクロな視点からはそうは言えません。例えば、日本は2003年頃からいざなぎを超える長期の好景気が起こっており、財政赤字も2011年には解消されるとすら目されていた時代がありましたが、そのような好景気の背景には米国の大きな消費があったと言われております。つまり、物は買う人がいなければ売れないわけです。輸入してくれる国がなければ、輸出もできないわけで、物が売れるということや輸出できるということ自体がいいことではないのです。必要な人や国のところへ、その製品・サービスが届いているかどうかが重要なのであって、自国の産品が売れているかや輸出と輸入のどちからが大きいかということは、国際的な視点から見たら、大きな問題ではないんです。中国や韓国などのアジア諸国や日本やドイツなどのような貿易黒字の国しか存在しないというのは、ありえないです。黒字の国が存在するためには赤字の国が存在する必要があるわけです。マクロな視点から言えば、赤字か黒字かというのは大きな問題ではなく、人・もの・金・情報といった経営資源が活発にくまなく世界を巡り巡っているかどうか、ということが大切なんです。





そういうわけで米国はその膨らんだ経常収支の赤字をどうにかするために、経常収支を世界各国が協調してある一定の範囲内での黒字や赤字しかできないようにしたらどうかという提案をしておりました。つまり、経常収支の黒字や赤字はその国のGDP比4%で抑えようという提案です。この試みはあえなく失敗しました。国際的な経済の不均衡というのは大変難しい問題です。はっきり言って日本が経済大国になれたのは米国の巨大な消費があったからです。ドイツもそう、中国もそうです。しかし、だからといって経常収支の目標値を設定するというは私も難しいと思います。





さて、日本としてはどのような経済外交をすべきであったか、菅さんの存在感はめちゃくちゃ薄かったようですが、答えは一つしかないと思います。米国の金融緩和を支持し、日本も協調して金融緩和を行うということです。





まず金融緩和というのは目的は自国の通貨を安すく導くことではなく、デフレ不況を退治するのが第1義的な目的です。結果として自国の貨幣量が相対的に大きくなるので、自国通貨が安くなることはありえますが、少なくとも言えることは、金融緩和による通貨引き下げは単なる外貨準備を増やすこと(外貨を買って自国通貨を売る)による通貨引き下げのような近隣窮乏化政策ではないということです。つまり、金融緩和によって起こるのは消費や投資の活発化であるので、輸入も大きくなるです。ですからデフレ不況気に国際的に協調して金融緩和を行えば、一国の通貨だけが安くなって貿易の不公平が起こることもなく、デフレ不況を終息させることができます。つまり、国際的な金融緩和によって近隣窮乏化ではなく、近隣富裕化が可能になるということです。経済において一人勝ちはありえないということです。





中国のインフレ率は今確か記憶ベースですが、4%以上いっているようで、ちょっと高いみたいです。それを中国は米国の金融緩和のせいだといっているようですが、インフレを収束させたいのであれば、人民元を切り上げればいいだけの話しです。実質の価値よりも人民元は明らかに低く設定されているわけですから、徐々に引き上げていって、為替相場の自由化に向けて動くべきです。米国経済の肩を持つことは、日本の国益にもかなっております。日本も米国と同様に金融緩和を行い、米国とともに人民元安に圧力をかけていくべきです。それは中国人のためにもいいことです。なぜなら、人民元が高くなるということは中国人の購買力が上がるということですから。めちゃくちゃ中国の労働者の賃金は安いですから、人民元が高くなれば、そういう労働者の生活水準の向上にもつながると思います。





しかし、米国のティム・ガイドナーが提唱しているような経常収支の目標値を設定するというのは問題があります。なぜなら、これは要するに国際的な自由な資本移動が制限されるということですから。民間の自由に任せた貿易ができなくなることを意味します。これは批判されて当然です。ブレトン・ウッズ体制への回帰みたいなものですから。これに対しては日本も批判を加えるべきです。





この理由について書くと、さらに文章が長くなりますが、お付き合いください。





①国際間の自由な資本移動、②物価の安定(金融政策)、③為替の安定、この三つは国際経済の安定化のために全部達成したいと思われている事柄です。しかし、三つ全部を達成することができず、二つしか達成できません。国際金融のトリレンマと呼ばれております。





①は、ある企業が石油を輸入してプラスチックを輸出したいと思ってるとします。しかし①が制限されていると輸入したいだけの石油が輸入できず、本来得られるべきであった利益を企業は得られなくなったりします。その影響は賃金や雇用などにもでてきますから、経済の国際間の自由な取引というのはできれば達成したいものです。





②は、例えば現在、日本はデフレ不況です。デフレだと物が安くなっていいような気もしますが、物が安くなるということは企業の利益も小さくなってしまいます。企業は賃金を上げるのは楽だけど、下げるのは難しいです。物価が下落したらその分賃金も下げなければなりませんが、それが遅れると結局、失業が生まれます、労働組合の反対があって、賃金を下げることもリストラをすることもできなければ結局、企業が破たんします。あるいは、デフレだと実質利子率(実質利子率=名目利子率+インフレ期待)が高くなるので、実質の負債が大きくなります。それゆえ企業は新たな投資ができなくり、経済が縮小していきます。このようなデフレを退治するために政府・中央銀行は金融政策を行います。デフレの場合は金融緩和です。結局、金本位制が続かなかった理由、それから現在EUが直面している問題はここにあります。おそらく、金本位制に限界があったようにユーロもそのうち無理が来るのではないでしょうか。





③は、例えば現在、日本は円高で苦しんでおりますが、例えば為替レートが変化すると輸出で得た100ドルの価値が目減りしてしまいます。そういうことを避けるためにEUはユーロをつくったんでしょうね。経済的な理由以外に政治的な理由もあると思いますが(アメリカに対抗できるだけの大きな国をつくりたい等)。





というわけで、基本的にブレトンウッズ体制崩壊後の世界経済は①と②を選んで、③を捨てるという状況です。これは時代時代によって変わるものではなく、必然的にそのようになっているものだと思います。つまり為替が不安定であるというのは、あまり問題ではないということです。むしろ経済の変化に対応してドルが安くなったり、円が高くなったりすることはいいことです。自国通貨が安くなったり高くなったりすること、それ自体は経済政策の本来の目的である自国民の生活水準を高くすることとは関係ありません。為替を硬直的にして①や②を捨ててしまうと、より悲惨な状況になります。中国人労働者の生活水準の低さを見ていただければわかると思います。ユーロ諸国は域内においては②を捨ててますが、域外に対しては③を捨ててます。







ところで、米国はガイドナーの提唱があるように、今①を捨てようとしてます。①を捨てることによって、③の為替の安定を得ようとしているようです。ここから見えてくることは、現在アメリカは経常収支の黒字化を計ってドル安を良しとしていますが、「このまま下がり続けしまうのではないか」「ドルが国際基軸通貨ではなくなってしまうのではないか」というドル安に対する危機感を持っているということだと思います。しかし、残念ながら無駄な抵抗です。アメリカの経済覇権国からの衰退は避けられないかもしれません。ナチス・ドイツとソ連という二大悪の大国を滅ぼしたという世界的使命を果たし終えた今、徐々に米国から世界精神が東洋の大国・日本へ移っているように思います。もちろんアジア・太平洋地域の安定のためには日本とアメリカの協力体制は欠かせません。今まで米国の果たしていた世界経済に対する責任の一端を日本は背負わなければならない時代に入ってきていると思います。私たち日本人は日本の繁栄を守るだけでなく、世界のリーダーとしての自覚が求められております。日本の宰相たる者は、国内の景気動向だけでなく、世界経済の安定のための秩序づくりも考えなければなりません。菅首相の存在感の無さは本当に涙ものですね。





川辺賢一