祖父はよく言った。



「お母さんと、仲良く助け合って生きてほしい」


いつも強い祖父が唯一わたしの前で声を出して泣いた。

あの夜を忘れられない。


わたしは、結局上京した。

母を地元の病院に残して。


もちろん会いに帰っている。

声が聞きたくなるし、会いたくなるし。

どんな母でも、わたしにとってはやっぱり、

たった一人の肉親。



祖父母は、本当に不安だったのだと思う。

統合失調症を抱えて、仕事もできない母と、たった一人の娘であるわたしがどう生きていけるのか。


自立させるために、厳しく接していたのだと思う。


「おじいちゃんおばあちゃんて、無条件に孫を可愛がれるからいいのよね、子どもだとしっかり教育していかなきゃならないでしょ😁」


と、親戚のおばちゃんは言ってたけれど。



祖父母は本当に厳しかった。

優しいけれど、厳しかった。


言葉づかい、

姿勢、

一般常識にまで話は及んだ。


本当は、無条件に愛したいと思ってくれていたのかもしれない。

深い愛情は、いつだって感じていた。



だけど、祖父母はわたしの

父として

母として

わたしを世の中に送り出さなければと


思っていたのだろう。



きっとすごい葛藤があっただろう。




わたしがいま祖父母に伝えたいのは


ありがとう。




有難う。


「そう有ることが難しい、それを有難う、って言うんだよ」


あたりまえではない。

そのことばを今いちばん、天国の祖父母に伝えたい。



「有難う」