俳句誌 響焔 2022年7月号 | ナナコとジュウイチ

ナナコとジュウイチ

ちょっとしたストーリーを書いてます。あと、最近、俳句を始めました。

    渇き

 

風信子ピアニッシモの息遣い

 

鬱金香こころに渇きありにけり

 

ポケットに丸めし言葉花の雨

 

霾るや露西亜の街の反戦歌

 

春日あまねし基督に分け隔てなし

 

満たされない感情…渇きを覚えていた。

最後の二句はいずれもプロテスト俳句だ。ロシアの人々のニュースは入ってこないが、ヴィソーツキーのような反戦歌をどこかで誰かが歌っていてくれたなら…と願った。

5句目、確かロシア正教会の司教とプーチン氏との関係について報道されていた頃のことだ。原始キリスト教…、キリストは決して貧富や人種の差別はしなかったはずだ。「神は善人にも悪人にも太陽を昇らせ、雨を降らせる」…そんな言葉が思い出された。