渇き
風信子ピアニッシモの息遣い
鬱金香こころに渇きありにけり
ポケットに丸めし言葉花の雨
霾るや露西亜の街の反戦歌
春日あまねし基督に分け隔てなし
満たされない感情…渇きを覚えていた。
最後の二句はいずれもプロテスト俳句だ。ロシアの人々のニュースは入ってこないが、ヴィソーツキーのような反戦歌をどこかで誰かが歌っていてくれたなら…と願った。
5句目、確かロシア正教会の司教とプーチン氏との関係について報道されていた頃のことだ。原始キリスト教…、キリストは決して貧富や人種の差別はしなかったはずだ。「神は善人にも悪人にも太陽を昇らせ、雨を降らせる」…そんな言葉が思い出された。