『眩(くらら)~北斎の娘~』 再放送


江戸の天才絵師・葛飾北斎の三女として生まれたお栄(後の葛飾応為:宮﨑あおい)は、町絵師と夫婦になったものの、箸を持つより絵筆を持つのが好きで、父であり、師である北斎(長塚京三)の元に嫁ぎ先から戻ってきた。
そこから「超えられぬ高き壁・北斎」の絵の手伝いが始まった―。
そんな中、お栄は北斎の門人である絵師・善次郎(溪斎英泉:松田龍平)にだけは、苦しみや悩みを話すことができた。
それは思うに任せない、「出戻りお栄」の密かな恋心であった。

北斎という絵に魅入られた男を尊敬し、影で支える絵師として働き続けるお栄。
そして北斎の代表作である「富嶽三十六景」が完成した時にも、そばにはお栄がいた。
父が高齢となり、思うがままに筆を動かせなくなってからも、お栄は父の「影」として北斎の絵を描き続ける。
北斎は眩しい光、自分はその影でいい。
そうしてお栄は絵を描き続ける。

やがて時は過ぎ、心の中で常によりどころであった善次郎そして、北斎もこの世を去る。
60歳を過ぎたお栄は、一つの真実にたどり着く。「影が万事を形づけ、光がそれを浮かび上がらせる。この世は光と影でできている」――



キャスト

お栄(えい)/
葛飾応為(かつしかおうい)
…宮﨑あおい

葛飾北斎の三女。一度は絵師に嫁ぐものの、夫より自分の絵を優先する態度が災いし父の元に出戻る。その後は北斎の最晩年まで二人三脚で北斎の画業を支え、北斎亡き後も死ぬまで絵師として生涯を全うする。


池田善次郎
…松田龍平

美人画の名手「溪斎英泉(けいさいえいせん)」として一世を風靡する絵師。北斎を慕って出入りし、お栄とは幼馴染のような関係。お栄は密かに想いを寄せるが、放蕩無頼な善次郎は別の女と所帯を持ち、やがて絵師をも辞めてしまう。


弥助
…三宅弘城

北斎の一番弟子としてお栄と一緒に長年北斎を支える。その後絵師として独立するが、最後まで北斎に寄り添い、最後の作品となる「富士越龍図」の完成にも立ち会う。


滝沢馬琴
…野田秀樹

「曲亭馬琴(きょくていばきん)」を名乗って多数の作品を残した戯作の大家。北斎とは長年合作し、一番多くの挿絵を描いてもらったが我の強い両者はやがて喧嘩別れする。しかし北斎が病いに倒れた時、真っ先に駆けつけたのは馬琴であった。


小兎(こと)
…余貴美子

お栄の母。先妻を亡くした北斎に後添いとして嫁ぎ、お栄と弟を産む。描くこと以外に無頓着な北斎とお栄を理解できず、娘の人並みな幸せを願うが、北斎を残し病死する。


葛飾北斎
…長塚京三

今や世界にその名を残す天才絵師。当時も浮世絵の大家として多くの門人や門弟を持ち、創作意欲旺盛で驚異的な数の傑作を世に残した。百歳を超えるまで画業を追求することを願い、晩年は自ら画狂人と称した。


スタッフ

【原作】
朝井まかて『眩』


【脚本】
大森美香


【音楽】
稲本響


【演出】
加藤拓(NHKエンタープライズ)


【制作統括】
佐野元彦(NHKエンタープライズ) 中村高志(NHKドラマ番組部)