慢性炎症脱髄性多発神経炎について病気の詳細と分類をまとめてみました。

 

慢性炎症脱髄性多発神経炎(Chroic Inflammatory Demyelinating Polyradiculoneuropathy)

 

概要

慢性炎症性脱髄性多発神経炎とは、2か月以上にわたって末梢神経に炎症が生じる病気です。難病に指定されており、発症すると手足の筋力の低下やしびれなどの神経症状が現れます。患者数は約5,100人(2021年3月末時点)で比較的男性に多く、〜70歳まで幅広く発症することが報告されています。治療後も寛解(症状が治まること)と再発を繰り返したり、徐々に症状が進行したりするため、長期的な治療や経過観察が必要です。

 

原因

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の原因は、末梢神経の神経線維を覆う髄鞘(別名:ミエリン)を攻撃するIgG自己抗体が作られ、マクロファージや補体が活性化しミエリンが損傷するためと考えられていますが、詳しいメカニズムは分かっていません。

神経は、電気信号によって運動や感覚などの刺激を伝達します。ミエリンには電気ケーブルを包む絶縁体のような役割があり、によって電気信号の伝達が素早く正確に行われます。しかし、ミエリンが破壊されると信号が正常に伝わらないため、筋力が低下したり覚が分かりにくいなどの異常が生じたりします。

 

症状

末梢神経が障害されて運動神経に異常が生じると、手足の脱力や筋力の低下が生じます。その結果、腕が上がらない、物をつかみにくい、階段を上りにくいなどの症状が現れます。また、感覚を司る神経にも異常が生じ、しびれや震えが生じ、痛みを感じにくい、感覚が分かりにくいなどの症状が現れます。症状が進むと手足の筋肉が痩せるため(筋萎縮)、移動の際は必要に応じて杖や車いすを使用します。症状は左右対称に現れるケースが多いものの、左右で症状の度合いが異なることや体の一部にのみ症状が現れることもあります。まれに脳神経に異常が生じることもあり、その場合はしゃべりにくい、表情筋の麻痺などが起こります。

CIDPにはゆっくりと進行するタイプ(慢性進行型)、再発・寛解を繰り返して進行するタイプ(再発寛解型)、一回しか発症をみとめないタイプ(単相型)があります。

 

CIDPの種類

 

典型的CIDP(50%)

典型型CIDPは症状が広範囲にわたって表れる。手足同時に症状がでたり痛みや痺れ、感覚のわかりにくさなどが表れる。髪が洗えないとか足腰が立たない、足の裏の感覚が鈍いなど。太ももや腰にも症状が出る場合ある。しかしながら、CIDPの標準な治療の免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)やステロイドパルス療法などよく効く印象がある。典型CIDPでは全体的に均一な脱髄と軽度の軸索障害が主体となる。

 

CIDPバリアント(非典型)

多巣性CIDP(MADSAM)(14%)

ルイスサムナー症候群またはMADSAMともいわれる。主に運動障害(末梢神経障害)が上肢から表れる。感覚障害は表れないかまれである。脳神経が障害される頻度も典型的CIDPに比べて高い。

 

遠位型CIDP(DADS)(15%)

四肢遠位優位の対称性ニューロパチーになる。典型的CIDPと同様の脱髄が基本所見だが手足の末端で障害が表れる。

肢から症状がはじまるのが特徴的。抗MAG抗体が陽性の場合は治療反応がCIDPと異なりIVIGやステロイドの反応が鈍く、リツキシマブが有効。

 

局所型CIDP(1%)

きわめて稀な亜型。一肢のみ表れる。多巣性CIDPとの違いは、症状が複数の四肢にまたがらず局所に留まる点です。

 

純粋運動型CIDP(4%)

運動神経のみが臨床上障害され感覚症状がないタイプです。多巣性運動ニューロパチー(MMN)と似ているが比較的左右対称で近位筋(二の腕やら太もも)も含めた筋力低下を露呈する。

 

純粋感覚CIDIP(14%)

四肢の感覚障害と深部感覚障害による失調を主体とし筋力低下を伴わないタイプ。純粋感覚型は経過中に70%程度が最終的に運動症状を呈するとの報告もあり、感覚優位の早期段階型と考えられる。

 

CIDPとは独立した病態と考えられるもの

・多巣性運動ニューロパチー(MNN)

・自己免疫ノドパチー

・抗MAG抗体関連ニューロパチー

 

CIDPは現在、残念ながら対処療法しかない。さらに種類が多く分かれており対処療法も変わってくる。CIDPバリアントとCIDP独立群についてはもう少し掘り下げてみる。