大学に入るとき、下宿じゃなきゃダメ、と母に言われ、

母と共に下宿先を探しに行った時のこと。

3月の末に探しに行ったため、大学の生協から紹介されたのは、わずか2件。

でも、残りものには福があるかも、なんて楽観的な話を母としていた。

最初に行ったところは、ボロっちいながらも、わりと広い部屋で、

しかも二階の角。

値段もそれなりで、高いわけではない。

紹介された件数も少なく、今から探すには絶望的な時期だったため、

母は「もう、ここでいいじゃない」と言うばかり。

しかし、僕は何かが引っかかっていた。

大家が「ここはいいですよ」と、しきりに紹介してくるのに

怪しいと感じたのもあるが、それよりも何か、

間取りというか、雰囲気というか・・・。

そんな漠然とした気に入らない感じを受けたのだ。

煮え切らない僕に、母が独断で「ここにしようかしら」と

大家と話している時、僕はなんとなく窓(なぜか磨りガラス)を開けてみた。

そして、見たのだ。

隣が墓地・・・。

あぁ、なるほど。

すぐに、僕は言った。

「もう一件紹介されてるので、そっちを見てから決めようと思います」

そうして、怪訝な表情の母を連れて、そそくさと部屋を出た。

まぁ、残りものに福があるなんて考えてたのが、そもそもの間違いであって。

次に行った下宿がまだマシだったから良かったけど、

そこがダメだった時のことを考えると、今でもゾッとする。