今日の編集手帳はあまり関心のないテーマだったので、別のテーマで。


 恋愛と結婚は別物だとよく言われる。


 そのとおりだと思う人もいるだろうし、いや違うという人もいるだろう。私はどちらかといえば後者である。

 私の場合、独身の間は、恋愛は結婚のためにするものだという感覚だった。従って、付き合っていく中で相手のことを知っていき、その結果この人と結婚することは難しいという気持ちになった瞬間、その人への恋愛感情も消え失せてしまうのだ。結婚する気になれそうにない人とする恋愛なんて、まったくもって時間とお金の無駄であり、また相手の人に対しても失礼に当たるだろうという価値観だった。

 だから、私の場合、恋愛は結婚と別ではなくセットなのである。たぶん、私と同じような意見を持っている人間もいると思う。ただ、いかんせん自分がそう思っている以上、この意見が少数派かどうかは分からない。


 この意見を突き詰めていくと、結婚を意識しない恋愛というのは、既婚者が行う不倫ではないのか、とすら思うのだ。既婚者がする恋愛であれば、離婚を決意したような重いものでない限り、結婚を意識するということはないだろう。ただし、結婚している以上、配偶者以外の人間と恋愛をするというのは、やはり人の道に外れた行為であることは付言しておきたい。


 では、「浮気」と「恋愛」はどう違うのか。配偶者がいる人間が、「結婚を意識しない恋愛」をすると、それが「浮気」になるのだろうか。


 「浮気」という言葉は、「不倫願望」のある人間が自己の責任を軽くするために都合良く利用している言葉ではないかと思うのだ。「不倫」という言葉は非常に重く感じる。しかし「軽い浮気心だった」などというように、「浮気」という言葉には出来心から来る突発的な軽いものだというイメージが含まれているような気がしてならない。

 浮気をする人というのは、「浮気」は、制限時速60kmの道路を時速80kmで走るような感覚なのではないだろうか。許される行為ではないが、警察にばれるわけないし、ばれても、罰金を払って「以後気をつけます」と言えばいいや、というような感覚に似ていると思う。
 ただし、不倫となると、そういう感覚ではなく、もう少し犯罪性の高い行為をしているような気がするのだ。無論、不倫も浮気も「犯罪」ではない。しかし、実は民法上の不法行為である(民法752条)。


 ところで、昔は「姦通罪」という犯罪があった。この犯罪は、なぜか、夫のある妻が夫以外の男性と姦通した場合には罰せられるのに、妻のある夫が妻以外の女性と姦通した場合には罰せられないという、現代では到底考えられない犯罪であった。つまり、女性が男性の愛人を作ることは法的に許されないのに、男性が女性の愛人を作ることは法的に許されていたのである。
 この犯罪自体が刑法典から外されたのは、日本国憲法が成立したためである。昭和22年に日本国憲法が施行されると、姦通罪は、この憲法14条にいう「平等原則」に反するため、刑法の条文からは外されることとなった。たしかに、男性にも姦通罪を適用すれば、平等原則には反しないのであるが、そういう改正は行われなかった。これもやはり、当時の時代において、男が、特に国会委銀等の権威のある男が愛人を作るという行為が普通に行われていたからではないだろうか。この行為が犯罪とされれば、困る人間がいたのだろう。
 いずれにせよ、現在社会において浮気や不倫は犯罪ではなく、単に民法上の不法行為を構成するに過ぎない。

 
 浮気と不倫に相違があるかといえば、必ずしも明確ではない。

 私はまず次のように考えた。配偶者に対して愛情を持ち続けている状態で行うのが「浮気」で、そうでないのが「不倫」である。
 しかし、この考えには一つの疑問がある。
 配偶者に対して愛情を持ち続けることと、浮気をすることは矛盾しないのだろうか。


 「浮気をしました。でも妻を愛しています」
 これを、浮気をした当事者の立場に立って正当化することを試みれば、仕事のストレスを家庭に持ち込んで愛する妻に迷惑をかけないように、家の外でストレスを発散してきた、ということにでもなろうか。
 しかし、これはかなり自分勝手な意見であることは明白である。浮気をしたことが妻に知れたとき、仕事のストレスを家庭に持ち込むことよりも遥かに大きな不幸を妻にもたらすことになるのだ。仕事のストレスを家庭に持ち込まないようにしようという、夫の気遣いはすばらしい。しかし、その手段がいただけない。浮気以外の方法でストレスを発散すべきである。


 妻がその夫の行為を理解できるのであれば、配偶者に対して愛情を持ち続けることと浮気をすることは、必ずしも矛盾しないということにもなる。仕事のストレスを家庭に持ち込むまいと、酒を飲んで帰ること、ナイターの競艇に出かけること、プロ野球観戦に行くこと、麻雀をすること、カラオケに行くこと。これらの行為と、浮気をすることが同系列に並ぶことになるのだ。

 しかし、一般的にいって、そのような夫の行為を妻が理解できるはずがない。そうである限り、酒を飲む等の行為と浮気をする行為が同系列に並ぶということはなく、この場合、愛情を持ち続けることと浮気をすることは矛盾することになるだろう。


 長くなりそうなので、この辺でひとまず終了。