夜は眠れなかった。

眠りたくなかった。

眠ってしまったら目が覚めたときにお別れをしなくちゃいけない

こんなときだけ、夜は短い

ずっとなでていたからか、ノアの体は柔らかいまま

離したくない。

そんなわけにもいかない。

段ボールのベッドは用意できている

抱き上げたまま、おろすことができない

出会った日、私はあなたを段ボールにいれるために抱き上げた

おとなしく抱き上げられてくれたね。

あんなに怯えていたのにね。

十年たった今日、動かないあなたを抱き上げて段ボールにいれる

それは、こんなにも辛くて苦しくて
何度も息ができなくなるほど泣いた

それでも、大事な人たちがそばにいてくれた
火葬場まで一緒に来てくれて、動けない私をいつまでも待ってくれた

旅立ちの日はこんなにも晴れて、気持ち良さそうな雲が浮かんでいた

ちゃんと見送ってあげないとね

寂しくて辛くて、悲しくて離したくなくて
こんなにも大事だったのかと思う
わかっているつもりだったのに、
そんなものでは足りないくらい大きな穴が開く

だから

ありがとうを、愛してるを、
何度でも言うよ

だから

ちゃんと見送るよ


一緒に見たかった桜も

山の上には咲いてたね

今年も桜を一緒に見れたね

きっとずっと寂しいよ
きっとずっと会いたいよ

今も、無意識に探してしまうよ

ふと、気づくたびに
心が壊れそうになるよ

だけど、ちゃんと、がんばるから
見ていてね