立山黒部アルペンルートを高原バスで登っていると
後方にひときわ高い山があります。
それが鍬崎山。標高2090m、富山城主佐々成政が
埋蔵金を埋めたということでも有名な山です。

今日はこの山に登りました。
取りつきは、立山山麓スキー場。
ここのゴンドラを使って登り始めます。
しかしながらいくつもの山々が立ちふさがっているので、
その山並みを越えて行かなくてななりません。
ゴンドラ山頂駅ー瀬戸蔵山ー大品山ー鍬崎山
標高差約1000m,14㎞の行程です。

山頂駅8時20分スタートです。

瀬戸蔵山8時53分 せっかく稼いだ標高差を下げます。

大品山9時35分  ブナとダケカンバが共存している貴重な山頂               
          ここでもせっかく稼いた標高を下げます。             
          そしてここからが核心部、鍬崎山に向けての登山です。                         
          斜度40度以上はあるかと思われる急登です。                          
           しかしながら固い斜面では、スノーシュー(MSR)の刃がアイゼンのごとく                         
           雪に食い込んで登りやすい。
           ざわざわの雪では滑らないように慎重、
           に”気合を入れて登れ”の助言に気を引きしめる。                         
           なぜか一部パウダースノー、ふかふかの新雪40㎝くらい。                          
           壁に新雪。滑って登れない。何度もチャレンジして何とか切り抜ける。                         

独標(1756)11時25分  
          やっと 鍬崎山山頂を視界にとらえる。
          でもまだまだ、下って最後の登り、
          固い斜面とざわざわの斜面のミックス、
          気を緩めることはできない。

鍬崎山12時40分 最後の力を振り絞って無事登頂!
           でも、2000mの冬山、風が半端じゃない、苦労して登ったのに滞在時間                       
           わずか10分で下山。


独標から少し手前、下った場所に登るときに見つけておいた穴倉?で
遅い昼食をとる。風がさえぎられて暖かい。
ほっとした時間、ビールがうまい、あぶったししゃも何本でも食べられる。
2時間余りの休憩、このほろ酔い気分のままに下山開始。
実はここからが核心部。
独標からの下り、細尾根で右も左もどちらに転んでも滑り
落ちて間違いなく別の場所に行ってしまう恐ろしい場所。
ストックを刺したらその跡がコバルトブルーに輝いていた。
キレイ。”ねぇとってもきれい”としゃべった瞬間だったと思う。
足を取られて?左斜面に落ちる。
滑って止まらない! 上では”止めろ”という声がする。
しかし手には長いストック、足はスノシュー、どうやって止めるんだ!
このまま落ちて行ったらどうなんだろうと頭をよぎった。
ストックを二本まとめて斜面を思いっきり叩き付け、足を斜面に押し付ける・・・
止まった! どれだけ落ちただろう、300mくらい?
実際には400mだった。
こうやって文章書いていても手に汗がにじむ。

上のほうから”大丈夫か、痛いとこはないか”と声がする。
”大丈夫”とだけしか答えられない。
気を取り直して(たぶん)斜面を登りにかかる。
あと20m位のところでまた滑る。今度はすぐ下(30m)に
あるクレパスにハマって止まる。
もう一度登り、また滑ってクレパスにハマって止まる。
クレパス、怖い言葉だが今はありがたい。
また、落ちたらと頭をよぎって、怖くて登れなくなる。
友が降りてきてスノーシューを外して持ってくれる。
今度は下で友がささえてくれ、キックで足場を慎重に
確保するも震える。
落ち着いて考えてみれば さっき登りでさんざん登った斜
面と代わり映えはしない40度ほどの斜面なのに頭がついて行っていない

やっとの思いで生還。1時間のタイムロス。
ここからは静かな下山。ツボ足で慎重に一歩ずつ・・・
友は静かだ、何を考えているのだろう。
私は申し訳ない気持ちでいっぱい。
せっかくの山行きを台無しにしてしまったんではなかろうか?
楽しくはないのだろうな。

夕方6時過ぎ、らいちょうバレーの山頂に戻る。
遠くの街の明かりが時間の経過を物語っている。
スキー場の明かりがやさしい。
午後7時、本日の山行き終了。

反省すべき点が多い山行きでした。
しばらくお山はお休み?
いえいえ、懲りない私です。
山が好きです。 
いい経験をしました。 これを生かしてまた出向くと思います。

きっと・・・