「電子戦隊デンジマン」においては、素顔の5人も実に魅力的だ。
演者同士の仲の良さが、芝居を超えて滲み出ている。
敵対するベーダー一族も素晴らしく、どこか憎めない魅力を持つ女王。
仕える将軍や侍女ら、その団結力は鉄壁だ。
番組中盤に登場する新キャラクターが、作品を大きく動かす。
これにより、ヒーローの危機だけでなくベーダー一族滅亡への展開に繋がり、最後は敵側に感情移入すらしてしまうのだ。
さて、番組後半のエピソードで印象深いものが、第47話「腹ペコ地獄 X計画」。
デンジブルーが子供たちとサバイバル訓練に山に入るのだが、敵の仕掛で本当のサバイバル地獄に。
極限状況の中、残り少ない水を奪い合う子供たち。
ある少年が、病弱な少女を犠牲にしようとする姿にデンジブルーの怒りが爆発する。
‘それじゃベーダーと同じじゃないか!?
人間は違うぞ、強い者は弱い者を守ってあげなくちゃ・・・
それが人間だ’
優しさと哀しみをも感じさせる、大葉健二氏の名演技。
後年の「宇宙刑事ギャバン」・一乗寺烈の姿が、すでにここにある!
敵を迎え撃ち、子供たちを逃がすデンジブルー。
‘俺は君たちを信じてるぞ!’
少女を交代で背負って逃げる子供たちだが、皆疲れ果てて動けなくなってしまう。
そんな中、最初に少女を見捨てて逃げたはずの少年が戻ってくる。
彼は少女の前にしゃがんで、背中を向ける。
その背におぶさる少女。
デンジブルーの心は、彼らの胸に届いたのだ。
本エピソードはあの鈴木美潮記者が読売新聞のコラムにも取り上げた事があり、知る人ぞ知る名作でもある。