バブル景気も終わりにさしかかった’90年、東映Vシネマが送り出した時代の徒花!

今でこそ有名な話だが、ロボコップのデザインは東映の「宇宙刑事ギャバン」に影響を受けて作られたものだった。
それをいいことに、’89年制作のメタルヒーロー作品「機動刑事ジバン」ではまんまロボコップを逆輸入したようなデザインを採用。
駄目押しといった感じで、オリジナルビデオ枠で本作が誕生した。

当時、新進気鋭だった雨宮慶太デザインのその姿のどこにも目新しさはなく、アクション監督としてメタルヒーローシリーズでその名を響かせた金田治を登用しながら大した殺陣もない。
ついでに言えば、主人公は警官ですらないw。

プロデューサー陣も過去の名作を手掛けていた人ばかりなのに、何故このような残念な仕上がりになってしまったのか。
それは、作る側と見る側の作品に対する認識の違いが大きかったのではないか。
愛情の温度差も含めて。

リアル=大人向けではないし、それが娯楽性を半減させてしまう場合もある。

最近でも「キカイダー REBOOT」のように、一般向けを意識するあまりこの手の作品のみが持つ面白さを排除する失敗例が多い。

本作で唯一得られるカタルシスは、主題歌に乗ってバイクで疾走する場面。
本来そこから更に盛り上がるはずなのに、グダグダなバトルの末の尻切れとんぼ。
これでは続編など出来るはずもない。
誰も求めていないから。

ちなにみ、本作のBGMは「仮面ライダーブラック」等で知られる川村栄二。
後年のメタルヒーロー作品「重甲ビーファイター」で多数流用され、ライバルキャラであるブラックビートのテーマ曲としても印象深い。
だからこの曲は、「女バトルコップ」のサントラを買わないと入手出来ないのであった。

時は流れ、ついに今月本作もDVD化された。
LDのみに収録されていたメイキング映像も補完され、値段も手ごろなのでつい購入。

東映Vシネマは今年で25周年。
奇しくもメタルヒーローの祖である「宇宙刑事」の新作が送り出された。
作り手と受け手の作品にかける愛情が、同じレベルに到達した良作の見本。
’80年代ヒーロー作品の熱さを知る者ならば、今回の「宇宙刑事 NEXT GENERATION」シリーズは必見の出来だ。

仕事と割り切るのがプロだとしたら、「女バトルコップ」はプロが作った駄作の見本と言えるだろう。


ただ、この主題歌だけはカラオケに入っていてほしかったんだよな。

歌う人間なんて俺以外にはいそうもないけどw。