淋しい大人たち | なないろDreamer

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「淋しい大人たちは」一条ゆかり作品の有閑倶楽部12巻の中で短編として入っている漫画です。
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有閑倶楽部はドラマ化もされたので知っている方も多いかもしれませんね!?

絵が上手く、どの話も面白いしスケールも大きいです。

そんな作品が多い中、家庭での出来事を描いた「淋しい大人たち」

四十代くらいの夫婦と高校生の娘が一人。
どこにでもあるような平凡な家庭だが、ママがパパが浮気していると娘に言った。

ハウスマヌカンをしている若い女性、娘のユミは彼氏に振られ、ムシャクシャして、父親の浮気相手のブティックに入りブローチを万引きしようとしました。

咎められたユミは「何よ!人の父親取る方が悪いでしょ!どうせママの娘よ!わたしなんて振られたんだから~」
ビックリする若い女性ですが、しだいにユミと姉妹みたく仲良くなっていきます。

綺麗で優しいお姉さん…いつもガミガミうるさいママよりいいのも分かる。。

そしてパパとは大人の関係ではないらしい。

パパはお見合い結婚だった。初恋の続きをしている気持ちだったらしい。

ママは、焦げが落ちない鍋をゴシゴシ磨きながらユミに話す

「主婦なんてやってられないわよ。感謝もされず当たり前なんだから…ああ…焦げが落ちやしない…あんたなんか分かるわけないわよ。まだ肌だってツルツルでこれからで…ママだって夢があったわ…プロポーズしてくれた人だっていたんだから、だけどこんなオバサン誰も相手にしやしないわよ。夫に相手にされない妻がどんなに惨めかあんたもママの年になればわかるわよ…!」

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次の日にママは化粧をしてブティックに行きます。「服が欲しいって言っていたしょ?」
ユミは、もしかしてと思います。
「ママやめて!」


「あんたくらい若くて綺麗ならいくらでも他にいるじゃない!あんなオジサン相手にしなくても、あの人には私くらいがちょうどいいんだから!」真っ青になるハウスマヌカンの女性。道行く人もなんだなんだとざわつきます。

ユミは、どんなにママがパパを必要としているかわかったのでした。


ハウスマヌカンの女性はお店をやめました。

パパもママは家のことをよくやってくれている不満はなかった、ただちょっと夢を見たかったんだ…と少年のようにユミに微笑んだ。

ユミは大学生になり彼氏もできたようだ、ハウスマヌカンの女性からはユミにハガキが届き、ペンションを開き結婚したらしい。

ママは、ダイエットをして痩せて綺麗になっていた。
パパは「今日は、鍋にしてくれ」と出勤前にポツリと呟きます。
ママは「はいはい、鍋と一杯やりたいんでしょ」と夫婦仲は良さそうだ。
ユミはパパが何を食べたいか言うなんてめずらしい~とママにいいつつ、いつもの毎日が戻ったようです。

救いがある漫画だった。読んだのは中学生か高校生くらいかな?

漫画の台詞で「専業主婦なんて弱い立場よね!離婚されたら保険のおばちゃんか、レジのパートよ」とユミの友達が言っていた台詞も印象的だった。

ママが行動に移すまで、ママがどんなに傷ついているか、回りは鈍感だ。
初恋でもなんでも、主婦は家政婦なのか慰安婦なのかと辛い気持ちをぶつけるママの台詞も凄い。
作者も若かったと思うが、よくここまで描けて、想像力に脱帽する。