思春期 | なないろDreamer

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下駄履きの生活者ブログです。

※思春期 個人差はあるが、12歳から17歳頃まで。

思春期を、猛烈に感じる漫画を読んでしまいました。
押見修造作品「悪の華」です。
ショートカットの女の子が「このクソムシが」と、吹き出しで描かれているインパクトある一巻の表紙。
ずっと気になっていました。
2013年くらいでしょうか?イマドキというか若い感じがして中々手を出さずにいましたが、同じ原作者で「僕は麻理の中」という漫画を娘が気にって、悪の華も知り、娘が面白いから読め読めと。


主人公の中学生春日くんはボードレールの悪の華を愛読している文学少年。
ふとしたことでクラスのマドンナ佐伯さんの体操服を持って帰ってしまうのをクラスメートの仲村さんという女子に見られてしまう。

春日くんは、物音に驚いて持ってかえってしまいましたが、仲村さんは「変態」と誤解してます。

春日くんは、先生に打ち明けようとしますが中々言えません。
バレるかもしれない恐怖。言って楽になりたいけど言えない。
本当に見ていて辛い。

仲村さんは、それをネタに脅してきますし…
憧れの佐伯さんとデートするチャンスが来ましたが、佐伯さんの体操服を着せられ、デートします。
服の中には体操着を着用していて生きた心地もしません…

佐伯さんとキスして見なよ。と、指示されますが、春日くんは「僕は変態なんかじゃない!!佐伯さん僕と純粋なお付き合いをしてください!」と、告白します。
なんとオッケーする佐伯さん。
天にも昇る気持ちの所を仲村さんにバケツで水をかけられ、体操着が透けて見えそうになり慌てて帰ります。

仲村さんからは「ゴミデートしてカス告白してんじゃねーよ。クソムシが」みたいに言われます。

春日くんは交際をオッケーされたことに喜びますが、体操服を持ってかえった自分はそんな資格はないのでは?と苦しみます。

あらすじを書いているとまだまだ続くので終わりません汗。


「自分は難しい本を読んでいる。他の奴等とは違う」春日くんは、そう思っている所があります。

大人しそうな文学少年が、クラスで問題児の仲村さんに振り回されながらも惹かれていく。

住んでいる所は山に囲われた田舎町。

仲村さんは山の向こう側に行きたがってます。


春日くんも向こう側を目指します。
だんだんおかしい行動を取る春日くんを両親は不審に思います。彼女だった佐伯さんは未練タラタラで春日くんを止めに入ります。(佐伯さんが一番おかしくなりました。美少女なのに結構可哀想な人です。)

最後には町を出なければいけないようなことをして大人の力で引き離されます。

次は高校生編になりますが、中学生編が強烈でした。

この漫画を読んで思い浮かんだのはザ・ブルーハーツの「少年の詩」でした。
私が中学一年生の時に聴きました。
「パパ、ママおはようございます。今日は何からはじめよう?テーブルの上のミルクこぼしたらママの声が聞こえてくるから」
印象的な歌詞から始まるこの曲は、一見礼儀正しそうな少年が、ここにいて遠くを見ているだけじゃ何も始まらない…と、思いつつ、親からの金銭的保護がないとまだ独り立ち出来ない状態。思春期特有のモヤモヤ感。

大人に誉められるようなバカにはなりたくない。と、最後にはナイフを持って立っていたという詩(うた)です。

何かを変えるために少年が出来ることといえば限られていて、ナイフを持つことを選択してしまう。

中学生の私は違和感なく友達と口ずさみながら登校してました。


私は大人しい中学生でした、思春期に暴れるようなことはありませんでしたが、親戚が家に来ると部屋に引きこもってました。
今ならなんで?とも思いますが…

あの時の気持ちも分からなくはないです。

そんな気持ちをぶり返してしまいそうになる押見修造の「悪の華」

思ったよりもハマってしまいました。
私は登場人物でいうと春日くんよりの人間だと思います。
だけど仲村さんみたいなタイプになりたかった願望もあります。
仲村さんにはカリスマ性があるように思えます。誰が好きだとか嫌いとかゴミみたいな話題をしている例えば佐伯さんのようなクラスメートをクソムシや蝿がただれているようにしか見えません。
仲間(変態)だと思った春日くんと男女の云々を越え、セックスでしか繋がれないクソムシ達とは違う向こう側を目指していました。

仲村さんに着いていけばなんとかなるんじゃないかと思わせる何かがあります。
春日くんは仲村さんが「にゃっはっはっはっ」と、笑ってくれるならと変態になろうとします。

仲村さんの意識しない行動に春日くんは性を感じながらも…


反対に性を露出にあらわし、肉体で春日くんを繋ぎ止めようとする美少女佐伯さんには春日くんは嫌悪を感じてます。
佐伯さんは女神でした
生身の佐伯さんを見たくはないのです。


高校生編で佐伯さんは春日くんに似たような男性と付き合ってます。

春日くんは仲村さんに似た感じの女子高校生を好きになり、お互いに好きな人を引きずっているようです。

ネタバレになりますが、春日くんは女子高校生常盤さんと付き合うことになります。
ケジメをつけるために仲村さんに会いに行きます。

三年ぶりに会う仲村さん。「久しぶり。なんて顔してんだよ。」相変わらずクールです。
しかし常盤さんと付き合っているというと、仲村さんの目が白目を剥き、悪の華のイラストと同じ顔をします。
これは漫画ならではの表現で凄いと思いました。だから漫画はやめられない。

この表情は絶望なのか?
仲村さんは春日くんを好きだとは一度も言ってませんし、漫画を読むかぎりでは好きなのかよくわかりません…
でもこの表情を見ると好きだったのか?

仲村さんは好きとか嫌いとか、そういう次元にはいないような感じなのでわかりませんが…

「もうくんなよフツウ人間」

相変わらず仲村さんの言葉にはセンスがあります。
最後には仲村さんの視点から見た中学時代の話が描かれて終わります。
仲村さんの苦しみが伝わりいいラストだったと思います。