教室でチャイムが鳴り、先生が来てるのに気づかないほど本の世界に入り込んでいたのです。隣の席の男子に肩を叩かれハッとなり慌てて席を立ちました。
その本の作者は
「赤川次郎」です(笑)
その時のは、三つ上の従姉妹が持っていたのを借りたやつでした。
その頃は1987年くらいで、赤川次郎がブームになったばかりの時でした。
初めての小さな文庫本。ちょっと大人になったような気分。
値段も手頃でした。本の厚さによって微妙に値段は違いましたが。
母も読みだし、一番近くの書店(生協桜ケ岡店)へ頻発に行きました。
みなさん赤川次郎というとどんなイメージでしょうか?
三毛猫ホームズ、角川、軽快、サラッと読める
なんだ赤川次郎なんて読んでるのか。なんて思われた方もいるのではないでしょうか??実際私も赤川次郎が好きだったというのは、あまりにありふれていて、なんだか気恥ずかしさがあるのは事実です。
私は赤川次郎が、軽快なユーモア溢れる作品を書いていたのは大衆向けだったのではないかと思っています。
例えば『黒い森の記憶』は赤川次郎のイメージとは違い、重いサスペンスミステリーに仕上がっています。

医者だった老人が人嫌いのため、山の奥にある家で一人暮らします。
最初からして朝食を作り、食べる描写がとてもいいのです。
独特のムードがあります。
コーヒーでトーストを流しこんでます。味わっている感じは皆無です。
毎朝同じメニューなんでしょうね。生活に無駄なものなど何もない…老人特有の清潔さも感じられました。
たまに届く奇妙な贈り物にも私は心惹かれました。
人形のお腹には手術されたように縫ってあり、不思議に思って開けて見ると中には赤いインクが入っていて老人の顔にピシャっとかかります。あとで開けられたお腹はまた縫いなおされていました。
次に届いたのはお手玉中には注射針が…
他にも色々届くのですが…次はなんだろ?と悪意あるプレゼントが楽しみでした(笑)
ミステリーも唸るような出来でしたね。
赤川次郎が軽いと思っている方が読めば、見方が変わる作品だと思います。
※2011年に書いたのを加筆しました。