わたしはずっとずっと頑張ってきた‥ | シン・135℃な裏庭。

シン・135℃な裏庭。

ブログの説明を入力します。


わたしはずっとずっとずっと頑張ってきた。


だけど、もう身体を起こす力も残っていないみたい。


土の上に寝てみた。


そしたら、そのまま起きることができなくなった。


学生の頃、英会話を教えてくれていたイギリス人の奥さんが、私のために、いつもハーブティーを入れてくれていた。


小さな庭にびっしりとハーブを植えて、それを摘んでくる。


ツチハ、イキモノノ、オカアサンデス。


といつも、微笑んでいた。


ヒトモ、ツチカラウマレ、ツチニカエルノデス。

私は、その人のことが好きだった。


ニホンジンハ トテモツカレテイマス‥


時々、彼女はこう言った。ある日、真顔で、


アナタガ トテモ シンパイ‥


そう言った。私は怖くなって、英会話に通うことをやめた。


続ければよかったかな~

土の柔らかい匂いが心地良い。


このまま、グロテスクに腐っていっても、受け入れてくれるんだ‥




私は小さい頃から、母の要求を叶える為に、生きていた。


母は、私にスーパーマンになってほしかったみたい。


とにかく、有名人やその道の最高峰の偉人の話ばかりしていた。


私がミスをすると不機嫌になる。


親戚や知人に会うときは、身だしなみを整えた私を自慢気に連れ回した。

あの頃は、優秀でいれた。


だけど、大学に入学してから、おかしくなり始めた。


母の祈願だった東京の女子大に落ちた。


ひとつランクの落ちる滑り止めには受かった。


人はすごいねと言ったけど、母は口をきいてくれなかった。


私は、母に申し訳なくて、奨学金を受けて上京した。


挽回するために、また頑張ってきた。あのイギリス人の奥さんに出会ったのもその頃‥


そして就活。


私は、大企業をすべて落ちた。


あまり田舎では名前の知られていない企業に就職が決まった。何十社受けたか覚えてもいない。


母は、電話口でため息をついてこう言った。


『その道のプロにならないとダメよ』


プロ‥


私が最も恐れるワードだった。


私は頑張って頑張って早朝から深夜まで働いた。だけど、お給料は、奨学金と家賃と光熱費を払うとほとんど残らなかった。


奨学金の返済が負担だった。


ふと知り合った人に相談した。


風俗をやって、早く還したらいいよと言われた。

若いうちしかできないから、割りきってやってる子も多いと。


私は怖かったけど、頑張って、仕事の合間に働くことにした。


処女だったから、すごく怖くてその人に相談すると、処女は邪魔だからと、その人と初体験は済ませておいた。


風俗は、辛かった。


私の容姿が冴えないことと、お客さんが満足するように感じないことをいつも指摘された。


プロ意識が足りない。


いつも誰からも叱責された。


『その道のプロにならないとダメよ。』


偉人になってほしかった母の言葉が余計に追い詰める。


私は、AVで感じ方の表現を必死で勉強した。


貧相な顔と胸は整形した。


整形したから会社は辞めた。


奨学金の返済を1日でも早く終わらせたかった。

私の努力で、お客さんはどんどん増えた。


プロに近づいているんだろう。


もっと頑張らなければ。

でも本当は、私は、一度もセックスで感じたことはない。


母とは、就職が決まってから疎遠になってしまった。


母の気に入る仕事につけなかった私が悪い。


それに、整形してしまったから、もうこの顔では会えない。


母も私に会いにくることさえしない。


早く奨学金を返済して、資格をたくさんとって、すごいキャリアを手に入れなければ。


そして、雑誌やメディアに載って、一流の人脈を作って、母にみせたい。

寝てる暇、休んでる暇なんかない。


そんなとき、同僚が、眠くならない魔法の薬をくれた。


凄かった。


私、凄く頑張れるようになった。


いつもいつも自分を叱責しながら頑張ってたけど、もっと頑張れるようになった。


ある日、


ネットに私の噂を書き込まれはじめた。


あいつは整形、あいつはジャンキー、金の亡者‥

そして、実名、出身校、過去の写真まで晒されてしまった。ブス、キモい、金カエセ、シネ、、



母から電話がなり続ける。


耳を塞ぐ。


もう終わりだ‥‥


私はふらふらと街をさ迷い歩いた。


知らないうちに、近所の古家が解体されて、更地になっている。


土。剥き出しの土。


私は、土の上にへたりこんだ。



ツチハ イキモノノ オカアサン‥



あの奥さんのハーブティー、美味しかったな~



アナタノコトガ シンパイ‥



あのまま、彼女の元に通い続けたかった。本当は。


だけど、そうなったら、私は壊れてしまうと恐怖を感じた‥


土は、私の醜い身体を抱き止めてくれるだろうか?


私は、もうほんとうに疲れた。


お母さんごめんなさい。

有名になれなくてごめんなさい。


すごいひとになれなくてごめんなさい。


故郷に錦を飾れずごめんなさい。



私は、、一度でいいから愛されたかったな~



ただありのままに。ダメなままに。



私は、このまま腐敗してオカアサンの元に還りたい。


整形のシリコンだけを残して‥





ヒトハ

ツチカラウマレテ

ツチニカエルノデス‥