関西時代の友人の話。
彼女は母子家庭で兄弟が五人いた。
彼女のお父さんは、突然の事故により、まだ幼い五人の子供を残したまま、呆気なく旅立ったそうだ。
当時、末っ子だった彼女は小学低学年くらいだったかな?
あまりに憔悴しきったお母さんが可哀想だったと話していた。
葬儀の前後、
あまり品のない感じの男性が、あわよくばという感じでお母さんにつきまとっていたのを、子供の鋭いセンサーは感知していたらしい。
『うわ~~イヤやったろ?』
その時の私の感性で正直に相槌を打った。
彼女は、その時の情景の中に戻ったような潤んだ目をしてこう言った。
『ううん。お母さんを、お母さんの悲しみを救えるのなら、
助けてあげてほしい…
そう思っていた。。』
恥ずかしかった。。
目から鱗が何枚も落ちた。
私は、この自分の傲慢な善悪の価値観が崩壊する瞬間が好きである。
善悪という基準は、その人の背景を知れば知るほど、溶けてなくなっていくものかもしれない。
彼女の暮らした背景では
私の暮らした背景での善悪は、まるで意味のないものだった。
自分の目の鱗をたくさん剥いでみたい。
鱗が剥げれば剥げるほど優しく強くなっていくような気がする。☆