「ええっ!!ほんとう?」
娘が、驚愕の声をあげた。
私が『天ぷらが嫌いだ』と口にしたときだ。
「だって、お父ちゃん、
ず~と天ぷら食べてたじゃない。
私が物心ついたときから、
ずっと……」
「うん食べてた」
「じゃあ、なぜ、天ぷらを嫌いだと言わなかったの?
お母ちゃんがせっかくつくったから、
ワルいと思って言わなかったの?」
「うん………」
と、私は返事した。
娘に「お母さんにワルいから」
と言っておけば、
やがてそれが女房に伝わり、
女房が私を見直し、
私の家庭内での地位が少しでも上昇すればいいと思って、そう言ったのだ。
本心は…違う。。
「うまいまずいや、
好き嫌いを言ったら、
戦地でお腹をすかせて死んだ人間に
申し訳ない…」
という気持ちがあるからだ。
本日の水木サンより…
水木しげるさん…☆