甘えさせているのではない | シン・135℃な裏庭。

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私は甘えさせているのではない。


ふつうの車イスを、彼は自分で動かせないので、

人に押してもらっているから。


初めて外に出る日、私に見せてくれた。


私は、彼について海まで歩いてあげながら


よかったねと言いながら、


もっと勇気があったら、はやくにこうしていられたのよと心の中で思った。


お湯と温風の吹き出る便器を用意したのも、


大便のあとの清潔にすることさえ、他人にしてもらうことを、


恥と思えなくなったとき、


恥ずかしさを忘れたとき、


ただの障害者でしかなくなるから。


それを敏感に感じなければ、


そのまますべて、他人に一生をお願いする生活になってしまうから。


身動きできないからだでも、せめて、おしりくらい自分でしまつできてほしい。


これが私の願いだから。

人に頼ることを、少しでもすくなくするようにならねば、自立ではないのだから。



私たちのやさしさとは、

ただ、甘えさすだけではないのだから。。



…電動車椅子も電器の便座も、


もっと深い意味にとってほしいと心から願う。


健、私はあなたがちゃんとした人になるよう願うよ。


たとえ、人より織り機がおそくとも。





自分だけのものを見つけること、もつことが、どんなに大切か?





けれど、生きてゆくうえで、チャンスはまってくれないのよ、健。


ただ頭だけで考えてもだめ。


なにか、やってごらんよ、健。


なぜ、単純なことだけど、キャッシャ-が打てるように練習しないの、健。


お店で必要なもの。


あなた、マスターできたら、生徒でなく、社員になれるのよ。


少し、冒険が足りないと、私、思うんだ。


健、健ちゃんの健は健康の健なのに。


あなたは、私に言うかな~、まり子さんは、障害者じゃないから、その気持ちわからないって?


健、健康な者同士でも、

障害者同士でも、


人のなかのほんとうの心はわからない。


ただ、やさしい心で想像するだけよ。



人生は、きびしいから、すてきなの。



これ私のあなたへのオクリモノ…



健、あなた、心が健康であってほしい。。








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時々の初心より


宮城まり子さん