「教員室で会議の最中でも
なかに入ってくるやっちゃんに
みんながいいました。
「やっちゃんならいいよ。
しゃべらないから」
でも彼は、全部知っていたのです。
ただ、誰にもしゃべれなかったのです。
職員の中でロボットやっちゃんと
アダ名があると知った時、
私は、ロボットじゃないと
心で叫びました。
この子にありったけの愛で接したいと思いました。
抱いて寝て
いろんなことを知りました。
イエス、ノーの信号を覚えました。
心が開けたやっちゃんは
タイプを打ちはじめ、
絵を書きはじめ、
感じる、
考える幼い少年に
変わったのです。」
宮城まり子さん☆
「なにかが生まれる日」より。