本日はマジネタである。尚、税務になれていない方
への配慮として、物語風にしてあります。フィクション
で実在の方との関係はありませんので、あらかじめ
ご了解ください。
よく、法人税、相続税、所得税などをあげて、その分
を分配しろ、などの声をネット上でみかける。
一見正しそうであるが、法人税をあまりあげると企業
の海外移転を促進し寧ろ税額が減るなど逆効果になる
ことも考えられる。増税による単純な増収を図ると、
かえって景気が悪化税収が減少する構図に似ている。
本日は相続税について、その税額の水準ではなく、
制度的な問題点について書いてみます。尚、来年度
以降に民法の抜本改正が検討されていますが、本エン
トリーは現行法に基づき記載しております。
(読まないとまずいけど、なんかめんどい)
相続には単純相続、限定承認、相続放棄があります
が、本件は単純相続を法定で行うことを前提にしてお
ります。数字等はちょっといい加減なのもご了解下さい。
1)債務承継
安田健太郎さん(以下やすくんといいます)38歳、
現在練馬区の某所に、両親、嫁、息子と住んでいる。
家は父親所有、100坪の敷地に二世帯住宅を建て
ている。
勤務は丸の内の某大手メーカー、課長に今年の春
昇進、給与は手取り50万を二つの口座に40万と10万
に分けて振り込んでもらっている。40万の方は嫁管理
で小遣いそこから5万、隠し口座は嫁ばれなく、小遣い
も毎月15万、まずまずの暮らしぶりである。
趣味はキャバクラ通い、毎週おきにの新宿のみなみ
ちゃんの店に週一以上通い、温泉に嫁バレしないように
小旅行するのが夢である。
うっすらとちょっと後退した額が玉にきず、やせ形でまあ
まあもてているとやすくんは思っている。
そのやすくんの家に大事件が起こる。
父親が突然倒れ心筋梗塞で急死したのである。梅雨明け
やらぬ6月10日のことだった。
まだ68歳とお若い父君のご逝去に家族全員悲しみに
沈む。しかし、悲しみの儀式はそれを押し流すように訪れ
る。
高齢の母君に変わり一人っ子のやすくんが喪主となり、
まず葬儀屋斎場の手配、通夜も眠れない。通夜告別式
がすめば、次は初七日の準備、四十九日で納骨でまた
法事、忌引きも5日しかない。経験者ならわかるだろうが、
近親者の死は悲しみを吹き飛ばすように、次から次へと
遺族に仕事を与えるのである。
やすくん、みなみちゃんにラインを返す暇もない。
通夜告別式から49日納骨まであっという間に時が
過ぎ去る。そしてすぐに新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん
など地方によって読みが変わりますね)である。
バタバタと時が過ぎ去り三か月、9月17日日曜日にあまり
みていなかった郵便物を整理すると、内容証明郵便が6月
15日付けできている。
「これなんだろうね」嫁にきくと「ああ、そういえばお父さんの
お葬式の準備のときなんかきてたわねえ・・・」
で、文章よむと「お父様が6000万借りてたから相続したら
これ承継するからお前ら借金はらいな、ね!!」
と書いてある。債権者はA銀行。
わけがわからないので、嫁さんがこれもって練馬区役所の
無料法律相談で弁護士に聞くと、
「あ、これ故人に借入あったの知って三か月経過してますから
返済しなきゃあきまへんでえー」
と何故か関西弁で言われる。
単純相続は、故人の残した財産全部と借入など負債もすべ
て引き継ぐ。負債を知った日から三か月以内に相続放棄また
は限定承認の手続きをしなければ、財産も貰えるが借金も
払わなくてはいけないのです・・・これちょっと被相続人に
過酷すぎる、せめて六か月にしなければと思います。まあ、
弁護士、司法書士、金貸しなどの人種でしたらすぐに対応す
るだろうけど、やすくんは普通のメーカーのサラリーマン、税務
などには疎かったのです。
もうびっくり、そういえば相続手続きしなけりゃいけないし、
など思いだし、まず司法書士税理士に会い、相続手続きと
相続税の申告納付など相談する。またバタバタである。
やすくん、ぼーっとしながら、久しぶりに同伴約束していた
みなみちゃんにキャンセルのメールをいれる。
2)相続財産評価、相続税申告、税納付
故人の父君の主な財産は自宅以外に、自宅そばの駐車場
350坪があった。相続財産評価は路線価が基準、まず司法書
士に相続登記を頼む、登記が完了したら相続税申告を税理士
に頼み申告までは暮れもおしせまった12月1日に完了した。
相続税は1億5000万円、相続発生日の翌日から10か月以内
に払う必要があるので、タイムリミットは翌年の4月10日である。
ここで払わない場合は、原則年利14.6%の法定遅延損害金が
かかる、といわれ駐車場の売却を不動産屋に依頼する。
銀行には毎月年利2%、毎月10万円を駐車場収入
からなんとか払えた。こっちも元金6000万、計2億1000万の
金を作らなければいけないので、駐車場の売却を決断した
わけである。
みなみちゃんに会いにいっているどころではない。
駐車場の路線価評価は2億3000万、通常路線価は実勢価
や公示価より安いとネットで調べ、不動産屋には3億で売却
を依頼したが、不動産屋の意見は
「せいぜい2.1億、2億以下くらいでないと・・・」
であった。
やすくん不快になり、他の不動産屋もあたったが厳しい
ところは1.5億とかいう。なんでも路線価評価は高いけど、
接道が幅6mしかなく、容積率が60%なのでマンション業者
にも売れない、建売業者も評価が厳しい、というのだ。
とにかく売れない、やむおえず税理士に路線価評価で
物納(金でなくもので相続税を払うことです。興味あったら
国税庁のホームページ読んで)交渉を税務署にしてもらう
が、これが中々渋い。物納に応じてくれない。
やむなく、駐車場を1.7億で手放し、相続税は全額納付、
自宅も売却して銀行への残った借金4000万を払い、マン
ションに住み替えることにした。
年明け半年ぶりに会社帰りにみなみちゃんの店にいった
けど、もう疲れ果てて無口、得意のチューブも声がでない
・・・
「どうしたの、久しぶりだけど元気ないね、胸タッチくらいいい
から元気だしなよ!!」
っていわれてもAAAなので触る気しない・・・
ここでの制度的な問題は、相続財産の評価基準が機械
的に路線価基準、実際には評価額で換金できない、それ
なのに物納中々認められない、などです。
上場株式を相続した場合の評価額は発生日の確か終値
かと思いますが、相続後当該企業が破たんすればやはり
相続貧乏になります。
もちろん一般的には親が富裕層であれば、子供はかなりの
資産を相続で得られるわけで、相続税引き上げも合理性は
あるかもしれませんが、中には相続で困窮するケースもある
のです。
相続税の水準論議以前に物納等も基準をきちんと決めないと
近親者の死ばかりか追い打ちをかけるような事態になること
もあるのです。
本日のエントリーを読んで
「相続の問題点がよくわかった」
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※次回はマイナンバーと特別徴収にフォーカスし、「みなみちゃん
の憂鬱」を特集します。
※ 本日のエントリーを読んでキャバ嬢のお持ち帰りの仕方を
もっと知りたいって方はコメントください。無視します!!(笑)