汚部屋に住んでいた私は 母と同居していたけれど 食事はすべて外食か買ってきて食べていた。

母と話すのも避けていた。

母が怖かったのだ。







ずっとずっと母が怖かった。

小さい頃から「お父さんのようになるな」「いい子になれ」「勉強をしなさい」など 怒鳴られ 布団叩きで叩かれ 今から思えば立派な虐待だったと思う。

昔は 叩く教育が そんなに珍しくはなかった時代だったから。

それにしても 酷かったとは思う。

母は本屋で各教科のドリルを買ってきて「1日ドリルを5ページやりなさい」と言う。

どの教科でもいいから 総合で5ページやればいいのだ。

でも 遊びたい盛りの小学生 だんだんやらなくなる。

内容も学校で習うものより 格段に難しいものだし。

そうなると どうなるか。

1日分のドリルが どんどん溜まっていく。

1日やらないと5ページ。

2日やらないと10ページ。

3日やらないと15ページ…

そんなに溜まると もう全く やらなくなる。

ドリルはやったら母に見せ 母と答え合わせをやらなければいけない。

それがまた キツイ。

「なんでこんなことが分からないんだ」「なんでこうなるんだ」「ここがこうだから だからどうなるか考えろ」

最初は優しかった教え方も 私が母の満足いく答えを出せなくて間違えていくと だんだん母が腹立ち 怒鳴り罵倒しだす。

しまいには 「叩くと手が痛いから布団叩きで叩く 布団叩きを持ってこい」と怒鳴られる。

私は震えながら 布団叩きを取りに行く。

立ち上がって 食卓の机に手をついて 後ろを向く。

ビュッと ものすごい風を切る音がすると すぐにものすごい音でお尻にヒットする。

最悪なときは 太ももにヒットする。

私は泣き叫びながら転げ回り 母はさらに怒鳴り罵倒する。

「お前が悪いんだ」