中学時代の友人で、ある男子から「フルートばばあ」と呼ばれている子がいた。

なんちゅうあだ名で呼ぶのよ、と思ったが、明らかにその男子は友人を好いており、気を引きたいが故の手段だったようだが、友人のお眼鏡に叶うことはなかった。


この友人、当時スイミングスクールの選手コースに通うほど泳ぎに長けており、学校の水泳の授業で潜水したままけのびで25メートルを折り返してきたとき、カナヅチの私は心底驚いた。


そういうわけで肺活量もすごく、吹奏楽部は彼女にぴったりな部活動だったのかもしれない。

体幹もさぞしっかりしていたことだろう。

ちなみに彼女の得意な泳法はバタフライで、確かクロールよりもタイムがいいと言っていた気がする。
そんなことあるのだろうか。泳ぎがとんとダメな私にはよくわからない。

大人になって共に海水浴などを興ずるようになったとき、彼女は言った。


「大丈夫、カンナが溺れそうになったら

 バッタで助けにいく!」


気持ちはうれしかったけど、バタフライで近づいてくる様を想像したら、しばらく笑いが止まらなかった。