さよなら豊橋① | Little Friends

さよなら豊橋①

さよなら、と言っても、特に感慨はない。

昨日で仕事が終了、今日荷物を送って部屋の掃除をし、夕方部屋を引き渡して寮を出た。

満了してから3日の間に部屋を出ればよく、ゆっくり疲れを取ってから出てゆく人が多いみたいたが、これ以上あのバカドヤジと一緒にいるなどまっぴらごめんだ。

定宿の「ニュー東洋ホテル2」に泊まり、最後の豊橋の夜を堪能しようとも思わなかった。夜の豊橋の歓楽街など近寄りもしなかったし、今さら興味もない。

あてもなく放浪の末に豊橋に住みついたわけでもなく、自分の意思で豊橋に引越したわけでもなく、たまたま割当てられた寮が豊橋にあっただけ。

この町で生活することに、僕の意思は全く入っていない。

転勤族とも違う。転勤族なら、次の転勤までその町が生活の拠点だが、僕の場合、豊橋にいても、あくまで生活の拠点は札幌だ。わずかな家財道具も札幌にある。


いつか帰る、ということを考えたら、やはり僕は旅人だったのだろう。

自分の意思と関係なく、11ヶ月もの間、同じ町にいた旅人。

不思議な存在だった、と思う。

旅人の視線で、豊橋の町を見てきた。旅人がこの町の好き嫌いを言える立場ではない。(続く)