「北斗星」の旅路~個室A寝台「ロイヤル」にて⑨ | Little Friends

「北斗星」の旅路~個室A寝台「ロイヤル」にて⑨

(続き)僕は夜行寝台特急に乗ると、ひそかな楽しみがある。個別照明の個室寝台でしかできないのだが、部屋の照明を全部消して外を眺める。

もちろん、宇都宮や仙台など大きな駅周辺は、ネオンや町の照明が眩しすぎる。

真っ暗な中、星のようにきらめく家々の灯や街灯、流れ星のように過ぎ去る車のライト。まるで、宇宙を旅しているような気分だ。

まさしく銀河鉄道…。


さあ行くんだ その顔をあげて

新しい風に 心を洗おう

古い夢は 置いてゆくがいい

再び始まる ドラマのために

The galaxy express999 will

take you on a jouney…


銀河鉄道というと、宮沢賢治ではなく999になってしまうのが情けないが、これは僕の人間性と精神年齢に起因するものだから仕方がない。

僕は、機械の体をもらいに行くのではないし、メーテルも鉄郎も乗っていない。車掌も普通の人間だ。

でも、部屋の照明を全部消して暗い外を眺めるていると、メーテルや鉄郎たちの見た宇宙の海のような気がしてくる。

馬鹿げているが、もちろん、いつもこんなことを夢想しているわけではない。「北斗星」の中だけだ。(続く)