読書回です。

 

「キャバクラの経済学」山本信幸

文庫ぎんが堂 2015年11月20日第1刷発行

 

読了しました。

 

キャバレーとクラブを融合させたものがキャバクラである。

風俗的な行為が無いのがキャバクラである。

という基礎中の基礎をここで初めて知りました。

 

キャバクラの成り立ち、キャッシュフロー、

顧客とそのヒエラルキー、キャストの管理、

なるほどねぇなんて思いながら読み進めました。

 

特筆すべきは著者の文章力がずば抜けて優れていることです。

世界には「当たり本」と「はずれ本」の2種類が存在します。

本書は当たり本です。

まるで当然という体でに美しい文章が書けるなんて本当に憧れます。

内容はともかくとして、文体は教科書に掲載してもいいくらいです。

 

心理学や経済学の著名人のデータや論文も引用し、

興味深くわかりやすく、キャバクラの組織図なども掲載し説明してあります。

実際にわたしはトラちゃんにこの本をお薦めしました。

 

わたしはブックオフで110円の本しか買わないのがデフォルトです。

正直ある場面においては苦痛を感じながら読了まで漕ぎつけることもありますよ。

この本はとても気持ちよく読めました。

 

また古典系と違ってスナック菓子のような軽さで読むことが出来た点も、

精神疾患持ちで心が脆弱なわたしにはちょうど良かったです。

電車の中か病院の待合室なんかで読みたくなるような一冊でした。

 

 

そういえば一時期わたしはユーチューブで「進撃のノア」をよく見ていました。

真剣な世界ですね。

姫たちも逞しくて素敵ですが、黒服さんとかもかっこいいですよ。

自分を女性だと信じて疑わずに生きていけるような女の子たちが働いているんです。

わたしにはそういう女性が不思議に思うことがあります。

 

それはさておき…

看護師とか保育士とかみたいに、

本当にメンタルが強い人じゃないとトップは取れない世界です。

 

 

わたし生涯接客畑で生きてきた人間です。

どこに転職してもことごとく感情労働でした。

本当に病みますよ。

完全にいかれてる客が混ざりますから。

 

 

好きこのんでその道を進んできたわけではなく、

わたしの場合はその星の生まれだったとしか言いようがありません。

わたしは向き不向きで言えば精神的な脆さでは完全に不向きですが、

人格的には完全に向いています。

 

20代の頃、全国展開のとある営業会社で粗利率ナンバー1、

売上棟数ナンバー2の花形社員になったことがあります。

周囲の引き上げのおかげが一番の原因ですが、

年間を通して安定して成績の良い社員でした。

 

わたしは顔やスタイルが醜悪すぎたのでキャバクラ等の世界には無縁でしたが、

もう少し器量が良かったらそっちの世界にいざなわれていたかもしれません。

あちこちの職場の上司や年配者の方々に、

「あなたは絶対に水商売が向いている」よく言われました。

 

今だって、可能性はゼロではありません。

 

ジジちゃんに万が一早死にしてしまったら、

トラちゃんの学費を稼ぐために、

雇っていただけるのであれば、

わたしは婆専キャバクラに勤めることもやぶさかでありません。

 

それにしても疲れるでしょうね。

キャスト同士はライバルで、

キャストだって人間だから意地もプライドもあるでしょうし、

客は「高い金払ってるんだから」といったノリで機嫌もころころ変わるし、

平気でへそを曲げて嫌なこともいうし、

遊び上手の紳士ばかりじゃないでしょう。

サディスティックな客も多くいるでしょう。

あるいは社会不適合者で会社でものけ者で家族からもはじかれて、

お友達はキャバ嬢だけなんて人もなくはないでしょう。

 

心を病みそうな商売です。

キャバ嬢は記憶力が良く、賢く、機微に富み、

ユーモアもあり機転が利く人でなければやってられないでしょう。

尊敬する職種の一つです。