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John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

ハンドメイド・エフェクター・ブランドBOOROCKS(ブロックス)のスタッフによる、音楽(BEATLES & Fender)と映画の気ままなブログ。

 こんにちは。まだリハビリ中のJohnです。まだリハビリ生活を続けています。
 このブログで、ビートルズに関連する題材で事実に基づいたフィクションを書いていますが、今日もそれをお送りします。楽しんでください。



Yesterday

 EMIスタジオに着いたポールが、ジョージ・マーティンに切り出した。
「ねえ、ジョージ。昨日の夢の中で出てきた曲があるんだけど、聞いたことがあるか判断してくれる?」
 早速ポールはケースを開けてアコースティック・ギターを取り出した。ジョージ・マーティンは背の高い丸椅子に座り、片手を顎の下に当てている。
「こんな歌なんだ。『スクランブル・エッグ』って言うんだ。」
 ポールはまだ歌詞の付いていない曲をハミングげ歌い始めた。
「いや、聞いたことのない曲だ。でもいい曲だな。出だしなど7小節しかないが、違和感が全くない。」
「じゃあ、シラ・ブラックにでも歌わせようかな。」
「えっ、ポール君が歌えよ。」
「いや、ビートルズで演るには甘すぎるよ。ロックンロールじゃないし。単なるポップ・ソングだよ。」
「そうじゃない、ビートルズとして君が歌うんだ。君一人で。」
「僕一人で?」
「そう、もう許される時期だろう?以前も『And i Love Her』や『I'll Follow The Sun』を歌ってるじゃないか。ファンの誰もが次に君が歌うバラードを待ってるよ。それにピッタリの曲だと思うよ。」
「そうかな…。いいのかな…。」
「まずは歌詞を付けてくれ。」

 その翌日、ポールは歌詞を付けて曲を仕上げてきた。
 ギターを構えたポールは仕上がった歌を歌詞を付けて歌い出した。
 昨日と同じ格好で聞いてたジョージ・マーティンは、「うん、いいな。昨日聞いたものよりよくなった。歌詞がよかったな。」と絶賛した。
 気を良くしたポールはジョージ・マーティンに言った。「アレンジ考えてくれた?」
「ああ、君が昨日単なるポップソングにしたくないと言ってたんで、随分と考えたよ。弦楽四重奏なんてどうだろうか?」
「弦楽四重奏かあ。クラシックで来たか。ちょっと甘くなり過ぎないか。」
「いや、今回のアルバムの候補曲『ディジー・ミス・リジ―』なんかと並べておくと際立っていいと思うよ。」

「弦楽四重奏というとあのバイオリンのワザとらしいビブラートが付くんだよなあ。何かなあ。ロックっぽくする方法はないかなあ。」

 しばらく考え込んでいたポールは、突然話始めた。「そうだ。ビブラートだ。ビブラートをなくせばいい。バイオリンのビブラートなしだ。これでどうだ、ジョージ?」
 今度はジョージ・マーティンが黙り込む番だった。
「いや、弦楽四重奏にビブラートなしというのは前代未聞だ。有り得ないよ。子供がバイオリンを弾いたようになってしまうよ。じゃあポール、一度ダメ元でいいからやってみようよ。」
「う~ん、ジョージがそう言うなら…」

 その翌日、ジョージ・マーティンとポールが再びスタジオに居た。スタジオにはジョージ・マーティンが手配した弦楽四重奏団がスタンバイしていた。
「ポール、私の方でたたき台となるアレンジ譜を作ってきたから、まずやってみよう。」
 ポールが歌い出した。第一コーラス部分は、ポールのソロ、第二コーラス部分から弦楽四重奏が静かに入った。次第に盛り上がってゆく弦楽四重奏。そして突然ポールの歌とバック演奏が終わる。抒情的、感動的な演奏だった。
「どうだった?」
「うん、いいかもしれない。でも少し手直したい部分がある。」
「どこだい?口で言ってくれれば私が楽譜に書くよ。」
「歌詞で言うとこの部分のコードが違う。こうだよ。」ポールはその部分のコードを弾いて見せた。
「なるほど。こうか。」ジョージ・マーティンが譜面を書き換えた。チェロとバイオリンがそれを弾いて聞かせた。
「うん、そうだ。それからミドルのこの部分にセブンスの音を加えたい。こんな感じで。」ポールは実際にギターで入れてほしいメロディを聞かせた。
 それを聞いてジョージ・マーティンが楽譜をまた書き換えた。「こんな風かな。」それを弦楽四重奏団に示した彼は実際に音に出させた。
「うん、そんな感じだ。それから最後のコーラスだけ、高音部の3度の音がずっとなり続けるようにしたい。この部分まで。」
 またジョージ・マーティンが採譜して、弦楽四重奏団に弾かせた。
 それを聞いたポールは満足したように、
「うん、そうだ、そうだ。ずっとよくなった。」
 こうした作業が2時間ほど続いた。つまりアレンジはジョージ・マーティンとポールの共同作業だったのだ。そうして出来上がった『Yesterday』はアメリカではシングル・カットされ、4週1位という見事な結果を出している。実はこの曲のヒットにより、自身を付けたポールの一大転機となって、これ以後大きな働きを見せることになる。