ビートルズとフェンダー(その3) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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ハンドメイド・エフェクター・ブランドBOOROCKS(ブロックス)のスタッフによる、音楽(BEATLES & Fender)と映画の気ままなブログ。

 ギターメーカー、フェンダーとビートルズを結ぶ話の3回目、ストラトの話の2回目です。



 このギターを入手した1965年2月というと、丁度アルバム『Help!』のレコーディングの真っ最中でだった。彼らは早速、手に入れたばかりのこのストラトをレコーディングに取入れている。最初にストラトを使ったレコーディングは「You’re Going To Lose That Girl」だった。ジョージによる短いギター・ソロが聞けるが、確かにそのサウンドはストラトのものだった。

彼らは、そのギターを大切にしていたためか、コンサートに持ち歩くことは決してせず、レコーディングにおいて愛用していた。ストラトを使用した最も有名なレコーディングがアルバム『Rubber Soul』に収められた「Nowhere Man」だった。

ジョージのインタビュー記事によると、ジョンとジョージが2本のストラトを同時にユニゾンで弾いて、この曲のソロを弾いたとのこと。確かにギター・ソロのサウンドはダブルトラックで弾かれていますが、これはダブルトラックではなく、二人のユニゾンだったのだ。
さらにこのトレブリーなサウンドをきらびやかにするために、サウンドボードのミキサーに入力されたギターのチャンネルのトレブル(高音)を目一杯上げ、それをさらに別のチャンネルに振って、さらにトレブルを持ち上げるという作業まで行っています。そのために、この曲のギター・ソロはトレブル・ブースターを通したようなサウンドになっています。

『Revolver』『SGT. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』でもレコーディングだけで活躍したストラトだったが、映画『マジカル・ミステリー・ツアー』で初めてその姿が披露された。しかし、そのギターは、大幅にイメージ・チェンジさせられていた。

「I Am The Walrus」の演奏場面において初めて登場したストラトを弾くジョージの姿だったが、そのギターは全身サイケデリック・ペイントが施されていたのだ。


『SGT. Pepper’s』の時期に、ジョンもロールスロイスのサイケデリック・ペイントを施していたし、ポールも自身のリッケンバッカーベースにペイントをしており、ジョージもこの流れに乗って、ストラトにペイント施したのだった。ジョージは、当時の妻パティのネイル・カラーを利用して、刷毛でこのペイント作業を自分自身で行っている

このペイントされたギターが初めてお披露目されたのは、1967年6月25日に世界中継されたTV番組『Our World』に於いてだった。「All You Need Is Love」のレコーディング風景が生中継されたのだが、そこでジョージがこのギターを使用していた。ビートルズ4人のカラフルなコスチュームと相俟って、異彩を放ってした。(実際には白黒放送だったのですが、『アンソロジーDVD』では、デジタル処理されてカラーになっていた)
その後、ご存知の映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の「I Am The Walrus」演奏シーンで使用されていたのが、何よりも印象的であった。

その後、人前にこのギターが登場する機会はなかったが、ジョージの息子、ダーニによって大切に保管されていた。ところが、近年公開されDVD化されたジョージの伝記映画『Living In The Material World』の中で、ダーニのインタビュー・シーンの背景に、このギターが展示されているのが確認された。ジョージの妻・オリヴィアと息子のダーニは、ジョージが使用した重要なギターで、ジョージが手放したものも買い戻していると聞いているが、この家族の深い繋がりが感じられるエピソードだ。