
(60TH ANNIVERSARY CLASSIC PLAYER '50S STRATOCASTER)
テレキャスターの発売は、カントリー・ミュージック界を中心に大きな話題を振りまきましたが、ギター・メーカーとして老舗であるギブソン社も大きな衝撃を受けていました。すぐにソリッド・ボディのエレクトリック・ギターの開発に着手したギブソン社は、1953年満を持して発表したのがレスポール・モデルでした。
この間にレオはテレキャスターに満足すること無く、新たなギターを考案し続けていました。その新型ギター開発に当たってレオは、テレキャスターに対するミュージシャン達の意見を注意深く聞き取る作業を行っています。すなわち、ボディのエッジが、「腹に当たって痛い」、「テレキャスターをつり下げて弾くと、ロー・ポジションが遠くなって弾き難い」、「音色のバリエーションが欲しい」、「ビブラートを付けたい」などなど・・・。レオはこれらの不満を一つ一つ丁寧につぶしていく形で、新しいギターの着想を練っていったのです。それがストラトキャスターとして結実したのは1954年のことでした。
レオの発想は柔軟でした。特に「ストラップ使用時のロー・ポジションでの容易な演奏」という命題に対して、低音側のボディを角のように延ばすという、解決方法を編み出したのでした。これは言い替えれば、人間工学的見地から考案されたデザインと言えましょう。これも従来のギター・メーカーからは決して生まれない発想でした。
ストラトキャスターの登場は、後進のギター・メーカー達に一つの指針を示すマスターピースとなりました。すなわち、工業製品として恐ろしいほどの簡潔さを持ちつつ、そのボディ形状や構造を含む基本的な製作工程そのものが透けて見える造りでありながら、サウンドも容姿も孤高のスタイルを保持しているということ。その完成度の高さは驚嘆するばかりです。
少し前のこと、日産自動車のデザイナー氏が「工業製品で、これだけ長い間デザインが変わらないのも驚異的だ」と語り、さらに「当初から完成したスタイリング」であることを強調していました。すなわちレオ・フェンダーは、60年も前に完成度の高いギターを作り上げていたのです。
この続きはまた明日に。