
昔読んだ本で、何年かごとに読み返したくなるものがあるのですが、この椎名誠さんご自身の体験談を面白可笑しく書いたシリーズは本当に大好きで、5年から10年ごとに、必ず読み返す本です。
椎名氏のご友人のイラストレーター沢野氏、弁護士の木村氏などとの男の友情は、うらやましいばかりです。この作品の中にいるのは弱冠20代の頃の椎名さんです。木村さん、沢野さんらとの共同生活を解消し、それぞれの人生に旅立った後、椎名さんは小売業界誌の弱小出版社に務めるのですが、この作品はその時の経験を下地にして書かれたものです。
椎名さんの書かれる作品はほとんど読んでいますが、実際の小説も一味変わった作品が多く、その作風には何故か筒井康隆さんの影が見え隠れしていて、不思議な世界観を持っています。しかしこの自伝的作品群はまた別格です。現在の椎名さんもそうですが、この時期の彼も全くの自然体が身に付いておられ、その仕事の中で作られた人脈で、新たな仕事を生み出す彼のヴァイタリティは、読んでいる我々をも元気にしてくれます。
また元気が欲しくて読み始めましたが、何度読んでも新しい感慨を与えてくれるのが嬉しいんです。また10年ごとに読み返すと、受けるイメージが10年前と異なるんです。これがまた嬉しいんですね。
さあ次は『哀愁の町に霧が降るのだ』を読もうかな。