現在ビートルズの映像や音源は、アップルによって厳しく管理される様になりました。しかし、解散から15年ほどはアップルが機能していなかったこともあり、EMI音源でさえ乱用され、多くの編集盤が作られました。例えば、『Rock’n’ Roll Music』、『Love Songs』、『The Beatles Ballads —— 20 Original Tracks』などですね。

(アルバム『Rock’n’Roll Music』のLPジャケット)
また映像でも、1970年代には『The Beatles Shea Stadium Concert』、『The Beatles Story』、『Magical Mystery Tour』、『Let It Be』などがビデオとして市販されていました。しかしそれらの映像は、ほぼ全て映画としてフィルム化されていたものであり、ビデオ化する際に16ミリ・フィルムから起したものばかりだったため、粒子の粗い、現在では映像作品として市販されるクォリティに達しないものばかりだったのです。
1980年代半ばに再び機能し始めるまで、アップルはほぼ開店休業状態でした。というのも、EMIとの間で印税の未払い分に関する訴訟が繰り広げられ、アップルの資産、すなわちビートルズの資産が凍結されていたからなのです。しかし1980年代半ばにその訴訟にも和解が成立し、EMIはノドから手が出るほどに欲していたビートルズ音源のCD化が実現する運びとなったのです。
再び活動を始めたアップルは、ビートルズが解散する直前から、アップルの専務取締役となっていたニール・アスピナール(元ビートルズのロード・マネージャー)が独自に進めていたプロジェクト『ロング・アンド・ワインディング・ロード』を復活させることにするのです。これは、ビートルズの歴史を追って、映像や音源を編集して、自伝的ビートルズ・ストーリーを作るというプロジェクトでした。これがやがて『ビートルズ・アンソロジー』へと繋がるのですが、それに先立って、市販されている映像や音源の管理から手を着けることとなりました。その仕事の中の一つに『Magical Mystery Tour』のビデオの再構成がありました。
先程も書いた通り、それまで市販されていたこの映像作品のビデオが、フィルム起こしの映像だったため、クォリティの低さが目立っていたこともあり、1987年頃から再編集作業が始まり、オリジナル・フィルムからのマスター製作が始まりました。その過程で、音源も再編集されることになり、改めてアップルからジョージ・マーティンに依頼されることになったのです。
この続きはまた明日に。