日本のロック黎明期の記憶(その31)/フード・ブレイン(その2) | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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私自身が体験してきた日本のロック黎明期の話です。1970年代前半を彩ったバンド、アーティストを紹介しています。これまでジャックス、The M、はっぴいえんど、フライドエッグ、キャロル、四人囃子、サディスティック・ミカ・バンド、カルメン・マキ&OZなどを紹介してきました。昨日に続いて、今回も日本のロック史の中でも異彩を放つ名作アルバム『晩餐』一枚だけを残して解散したフード・ブレインの話です。


(昨日紹介しました、彼らが音楽を担当した映画『新宿マッド』のサントラCD)

さて、彼らが実質的に残した唯一のアルバム『晩餐』の話です。このアルバムでは、彼ら4人が持つルーツを十分に発揮した、緊張感溢れるロックを展開します。そのテイストの底流にあるのは、1960年代末に巻き起こるブリティッシュ・ブルースを基調としたロックであり、そこに角田ヒロの持つテイストが曲によって加味されます。

一曲目の「That Will Do」では、基本的には陳信輝のギターを中心にした、12小節のブルース進行のインプロヴィゼイション。1970年の録音で既に日本でも、これだけの演奏スキルを持っていたギタリストが居たことを実感させてくれます。そのフレーズは、彼の好きだったヤードバーズの3大ギタリストの影響に加えて、ジミ・ヘン、そしてテンイヤーズ・アフターのアルヴィン・リーの影響も見ることができます。三曲目の「Waltz for M.P.B.」では柳田ヒロがメインにフィーチャーされます。三拍子ではあるのですが、どちらかと言うとドアーズの「Light My Fire」の間奏部分のリズムを変えたような仕上がりですね。

四曲目の「Liver Juice Vending Machine」ではディープパープル風の曲調で始まり、ルイズ・ルイズ加部のベースがフィーチャーされます。当時のトップ・ベーシストの本領発揮のナンバー。角田ヒロのサンバ・リズムのリンク・トラック「The Conflict of The Hippo And The Pig」がわずかに顔を出します。そう言えばこの時期、ナベサダさんのグループではサンバのリズムを取入れていましたね。角田の演奏も、その影響なのでしょう。
六曲目が柳田ヒロの「Clock」。そのアプローチ方法は、初期のエマーソン・レイク&パーマーに近いかもしれません。再びリンク・トラックを挟んで、八曲目「The Hole in A Sausage」では、木村道弘のバスクラリネットを加えて、フリージャズ的なインプロヴィゼイション合戦を展開します。15分以上に亘るこのカオスが終ると、短い安息曲「Dedicated to Bach」(バッハに捧ぐ)で幕を閉じます。

このアルバムが、緊張感に満ちている理由の一つは、このアルバムのレコーディング時間が非常にタイトで、ほんの二日間で全てが録音されているのです。そのタイトなスケジュールが、かえって緊張感を生んだのかもしれません。その一瞬の緊張感が、この奇跡のようなアルバムを残したのでしょう。プログレッシヴ・ロック、ブルース・ロック、ジャズ・ロックなど多くの要素をこの一枚に詰め込んだような作品が、1970年に作られていたことに驚かされると共に、音源として残されていたことに感謝です。

日本のロック黎明期の話は、また日を改めて!