
(米国キャピトル盤シングル『Matchbox / Slow Down』の初盤ジャケット)
この2曲は、本国イギリスで4曲入りEP『Long Tall Sally』に収録された作品でした。このEPには、「Long Tall Sally」「I Call Your Name」「Slow Down」「Matchbox」が収録されていましたが、その中からこの2曲を選んだのは、イギリスでリリースされたEPの4曲を、米国でキャピトルがバラして切り売りするためでした。最初の2曲、「Long Tall Sally」「I Call Your Name」はアメリカ・キャピトルでのセカンド・アルバム『THE BEATLES’ SECOND ALBUM』に収録され、残った2曲がシングルとなったという訳でした。
ビートルズがアメリカを陥落させたのが、1964年2月のことで、それ以来彼らのレコードは売れに売れて、どれだけ出しても数字が取れるこの時期に、儲けるだけ儲けてしまおうというキャピトルの姿勢が見え隠れしていますね。実際に売上がさらに見込めるため、イギリスで通常14曲入りのところを12曲にして余った2曲をビートルズの音源をシングルに回すということまでやっていた訳ですから。裏を返せば、ビートルズの人気が長続きするものではなく、人気が落ちる前に利益を取ろうとキャピトルが思っていた証でしょう。『THE BEATLES’ SECOND ALBUM』などは、11曲に抑えられています。
しかし余談になりますが、12曲入りは悪いことばかりではなく、利点もありました。と言うのは、通常アナログのレコード盤に刻まれるミゾには、低音部を圧縮して音圧を抑えてプレスします。何故なら、低音のミゾは振幅が大きいため、レコードの限られた盤面に7曲ずつ収録するには音圧を抑える必要があるのです。しかし曲数が減れば、その盤面を広く使えるので音圧が上げられるのです。と言う訳で、イギリス盤に比較して、アメリカ盤は音圧が高いのです。アメリカ盤の方が迫力を感じられるというのは、そういう訳でした。
1964年の一年間にキャピトルからリリースされたビートルズのレコードは、シングルは6枚、EPが1枚、アルバムが5枚に昇り、少なくともキャピトル盤だけ見ても一ヶ月に一枚リリースされていたことが判ります。加えてVJ盤、トーリー盤、スワン盤、そしてポリドールでのデビュー前の音源までリリースされていたのですが、それでもファンがビートルズに食傷したという話はほとんど聞かれませんでしたので、どれだけ1964年のビートルズ・フィーヴァーが盛り上がっていたか窺い知れます。
この続きはまた明日に。