昨日に続いて今回も、日本のロックの黎明期のバンドの話です。1970年代前半を彩ったバンドの話をしていますが、今回は日本語ロックの先駆者バンド、はっぴいえんどの話の続きです。
彼らは初期には遠藤賢司や岡林信康などのバックも務めていましたが、特に当時学生に人気の高かった岡林のバック・バンドを務めたことが、彼らの知名度を挙げるのに役立っていました。
しかし彼らのライヴでは常に、ギターが大きめでボーカルが聞こえないことが多かった記憶があります。これは、当時の音響の問題点でもあり、まだPA装置がなく、歌はボーカル・アンプと言われる歌だけを拡声するアンプ/スピーカーを使用していたので、ギターとのバランスが悪いのが常でした。PAシステムは、1970年代半ばに、加藤和彦さんがギンガムを設立して日本で初めて導入されることになります。
(彼らのファースト・アルバム『はっぴいえんど』)
1970年に彼らの最初のアルバム『はっぴいえんど』がリリースされました。このアルバムで既に彼らの方向性である、アメリカン・ロック志向は、しっかりと打ち出されています。この時期のアメリカン・ロックのトップ・バンドの一つとして活躍していたバンドが、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(以下CSN&Yと表記)です。このバンドは、アコースティック・ギターを持ってイスに座って歌うイメージが強いのですが、エレクギターを持ってハードなロック・ナンバーさえも歌っていました。特にニール・ヤングなどは、相当にハードかつワイルドなギターを弾きますね。
そんなCSN&Yは、はっぴいえんどに大きな影響を与えていました。アルバムのトップに収録された曲、大滝氏の「春よ来い」などには、CSN&Yのハードなロック・ナンバーの影響が見て取れます。同じく大滝氏の「かくれんぼ」、細野氏の「あやか市の動物園」などは、まさにCSN&Yの世界ですね。同様に大滝氏の「12月の雨の日」にもその影響が見られます。この曲は、まさに大滝氏の初期の名作ですね。
また彼らはアメリカのシンガー・ソング・ライターへの造詣も深く、大きく影響さえ受けていました。中でもジェイムス・テイラーの存在は別格だったようです。細野氏の「しんしんしん」などのその影響を感じられます。またアルバム中でも、美しいメロディを持つ大滝氏の「朝」でもジェイムスの影響が見られます。さらに細野氏の「飛べない空」は少々毛色の変わった曲で、ビートルズの影響を感じ取れます。特にジョージ・ハリスンの曲のテイストが香ります。
この続きはまた明日に。