昨日は「She Loves You」のオリジナルの2トラック・マスター・テープが何故EMIに残されていないか、という謎に対する私の推論をお話ししました。すなわち、時間がなかった彼らが採った方法論は、パート毎にベストな音源を作っていき、後で編集して一曲として仕上げたのではないか、という内容でした。
今日はその推論を裏付ける証拠についてお話ししたいと思います。
良く知られていることではありますが、「She Loves You」には非常に多くの編集が為されていて、何カ所ものつなぎ目があるのです。最も良く知られているものが、曲が始まってから1分15秒後のつなぎ目でしょう。ここではシンバルの音質が極端に変わっているので判別し易い箇所ですね。しかしそれ以外にも編集箇所と思われる部分がいくつもあります。あるマニアによると17カ所という話もありましたが、これはまあオーバーとしても私が確認しただけで、5カ所あると思います。それは次の通りです。曲の始まりから、(1) 37秒後、(2) 53秒後、(3) 1分15秒後、(4) 1分22秒後、(5) 1分29秒後、という次第です。実際に再生する機材(CDプレーヤー、あるいはコンピュータなど)によって秒数は1秒前後、表記がずれると思いますが、これらの部分で明らかに音質が変わるか、テンポに微妙なズレが発生しています。
しかしながら、現在リリースされている2009年版のデジタル・リマスターではその編集部分が非常に判り憎くなるような、本当に丁寧な修正が為されています。そのため、上の事実を確認するならば、次のCD盤を推奨します。最も判り易いのが、1992年にリリースされたボックス・セット『The Beatles Compact Disc EP Collection』(東芝EMI/TOCP-7101-15)の中の『The Beatles’ Million Sellers』という盤がおススメなのです。このCDは他の物と比較しても音質がやや異なり、特に高音の伸びが最も良く、シンバルの音質の違いはハッキリと聞き取ることができます。ぜひご確認ください。

この通り、何カ所も編集により継ぎ接ぎ箇所がいくつもあるということは、やはりレコーディングの時点において完璧な形でランスルーできた演奏が少なかったか、あるいは当初より意図的に編集で繋ぎ合わせることを前提に、部分部分での演奏を録りためていったか、という推論が容易に成り立ちます。そのため、繋ぎ合わせて一曲が完成した段階で、2トラック・マスターを残す意味合いがほとんど無くなったのではないか、というのが私の推論です。
この続きはまた明日に。