最近読んだ本/『中原を翔る狼 覇王クビライ』 | John's BOOROCKSブログ-I Love The Beatles, Fender Guitars & Movies!

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小前亮著『中原を翔る狼 覇王クビライ』文芸春秋刊
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以前、このブログで紹介した『蒼き狼の血脈』という本を書いた著者、小前亮氏の近作を入手しました。前作で取り扱ったのは、当時の世界最強のモンゴル軍団を築き上げたチンギス・ハーン(ジンギス・カン)の孫にあたるバトゥを主人公に据えた、壮大なる歴史絵巻となっていました。今作はその続編とも言える話で、次世代のモンゴル軍の総帥、クビライ(フビライ)にスポットを当てたものです。
井上靖の書いた『蒼き狼』という小説が上梓されたのは1959年のこと。それ以降、急速にチンギス・ハーンとその一族に注目が集まったようで、多くのチンギス一族とモンゴル軍の小説が発表されてきました。例えば、陳舜臣著『チンギス・ハーンの一族』(全四巻)、また同氏の『耶律楚材』なども一種のモンゴル関連小説と言えるでしょう。さらに映画化もされた森村誠一著『地果て海尽きるまで』、SF作家の豊田有恒著『モンゴルの残光』ではモンゴル帝国が20世紀まで崩壊せずに存続したら、という設定でSF小説を書いていました。これらはほんの一例ですが、これほど多くの小説になるという事は、それだけ魅力のある題材なのでしょう。アジアのほぼ全土から中東、東ヨーロッパまでを領土にした帝国は未だかつてなく、文化や民族の交流がこれほど促進された時期はないのです。これによってヨーロッパ各国のアジアへの興味が醸造されていく結果を生み出します。
前置きが長くなりましたが、この小前氏の小説『中原を翔る狼 覇王クビライ』は、前作同様に主人公の「人物」を描く事に最大の努力を費やしているように思われます。恐らくそれは、その人物の性格や考え方が、その行動の素因となっているからであり、偉業を描くにもリアリティが全く異なってくるからでしょう。事実それが成功していると思います。前作のバトゥも、今作のクビライも、リアリティを持った人物として感受することができ、彼らが成し遂げた偉業も非常にリアリティをもって受け止められました。
内容に関しては、これから読まれる方のためにあえて書きませんが、興味を持たれた方は、ぜひ前作『蒼き狼の血脈』から読まれることをお勧めします。そうすれば一層この本を、面白く読み進める事ができるはずです。